「妊娠中は赤ちゃんのためにも、妊娠前より食生活に気をつけなきゃ。でも、どんなことに注意すべきなんだろう……」
産まれてくる赤ちゃんのため、そして自分自身の健康のためにも、食事に意識が向くのは自然ななりゆきかもしれません。赤ちゃんのこと、自分のこと、そして周りの人のことを考えると、妊娠中の食事に悩んでしまう人もいることでしょう。
今回は、妊婦さん・妊娠中のパートナーのために情報を調べている人や身内に妊婦さんがいる人、妊娠の計画を立てている人に向けて、妊婦さんが気をつけたい食事の摂り方を紹介します。
妊婦さんがまず注意すべきは「やせすぎ」!

厚生労働省によれば、20代・30代の女性の食事の問題は「やせすぎ」にあるといわれています。
「国民健康・栄養調査」をみると、「低体重(やせ)」の割合は増加しているという結果になっています。
1993年には低体重にあたる20代女性の割合は17.1%だったのが、2003年には23.4%。になりました。
30代女性だと、1993年の割合は8.6%でしたが、2003年には14.7%です。
◆参考:厚生労働省「「妊産婦のための食生活指針」の内容及び解説」
やせすぎは、妊娠中の女性にも胎児にも悪影響を及ぼす可能性があることが分かっています。
妊娠前の体重がやせあるいはふつう、かつ妊娠中の体重増加が7kg未満の女性は、低出生体重児を出産するリスクが高まる可能性があります。
妊婦さんは、適切な体重を保つためにもしっかり食事を摂ることが重要です。
こんな食べ方や生活習慣は気をつけて

妊娠中の健康維持に重要なのは、やせすぎだけではありません。
胎児の発育や妊婦さんの健康維持には妊娠前よりもエネルギーが必要ですので、たんぱく質や鉄分、カルシウム、ビタミンなどの栄養成分をバランスよく摂取することを心がけましょう。
以下の食事や生活習慣は避けるようにしてくださいね。
偏った食生活
過度な冷凍食品、インスタント食品の摂取は避け、手作りの料理を食べるように意識してください。朝食や昼食が単品料理だけ(パンのみ、ラーメンのみなど)にならないように工夫することが大切です。
食塩の摂りすぎ
高血圧やむくみの原因となる食塩の過剰摂取は、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を引き起こす原因となります。塩、しょうゆ、味噌の摂取は控えめに。漬け物、佃煮なども摂り過ぎないようにしてくださいね。
鉄分不足
鉄分を含む食材は、胎児の血液を作るために有効な働きをします。赤身の肉やレバー、魚介・大豆、緑黄色野菜、果物、野菜、さつまいもなど、ビタミンCを摂取して血液を作る栄養が不足しないようにしましょう。
お酒
妊娠中のアルコール摂取は厳禁です。妊娠中にお酒を飲んでいた母体から生まれた赤ちゃんが、知的障害や発育障害を併発する「胎児性アルコール症候群」を発症する割合は1万~2万人中1人といわれています。
飲酒の期間が長かったり、飲酒量が多かったりすると、母乳の分泌量減少も招きかねません。母乳量が少なかった結果、赤ちゃんの成長を抑制してしまったという例も報告されています。
◆参考:厚生労働省「たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう」
たばこ
たばこも母乳の分泌量に深刻な影響を与えます。喫煙量が多いほど、母乳の分泌量は比例するように減少することが厚生労働省の調査で判明しています。
また、たばこは赤ちゃんの出生時体重にも影響が。非喫煙者の妊婦と比べて喫煙者の妊婦から産まれた赤ちゃんの体重は平均で約200g少なく、低出生体重児が産まれる頻度も約2倍高いという調査結果も出ています。
非喫煙者の妊婦と比べ、喫煙者の妊婦は自然流産の確率も約2倍高いです。早産率も約1.5倍高く、周産期死亡率も約1.4倍高いため、いかにたばこが有害か示しています。
◆参考:厚生労働省「たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう」
妊婦さんにオススメの食事法とは?

妊婦さんには主食・主菜・副菜、そしてカルシウムをバランスよく食べることがオススメ。
お腹の赤ちゃんの成長はもとより、自分自身の健康維持のためにも、栄養価が高く、偏りのない食事を摂ることが肝心です。
主食とはご飯・パン・麺
炭水化物の元となる主食は、もっともエネルギーを含んでいます。
・ご飯
・パン
・麺
これらの食品が主食と呼ばれるものです。
胎児の発育にはエネルギーが欠かせないので、非妊娠時よりも多く主食を食べるようにしましょう。
たんぱく質の元となる主菜
骨格、筋肉、皮膚を構成し、代謝調整の役割も果たすたんぱく質。
たんぱく質を含んだ食品を主菜といいますが、主菜は「からだづくり」に大きく貢献してくれます。
以下の食品が主菜の一例です。
・鶏肉
・豚肉
・牛肉
・魚
・卵
・大豆
副菜でビタミン・ミネラル・食物繊維を摂る
ビタミンやミネラル、食物繊維は健康な体に必要な成分です。
胎児や赤ちゃんの発育に関わるため、母体・母乳の栄養状態にはビタミンやミネラル、食物繊維が求められます。
緑黄色野菜、海藻、果物などが胎児や赤ちゃんに必要な栄養成分を補填してくれます。
・ほうれん草
・かぼちゃ
・大根
・ブロッコリー
・ひじき
・いちご
・オレンジ
このような食品を副菜として食べるとよいでしょう。
カルシウムでさらなるエネルギーの補給を
胎児の骨や歯の形成のために、カルシウムを摂ることも忘れずに。
厚生労働省によれば、日本人のカルシウム摂取量は少ないことがわかっており、摂取の目安量を下回っています。
◆参考:厚生労働省「牛乳・乳製品などの多様な食品を組み合わせて、カルシウムを十分に」
質の高いたんぱく質とエネルギー補給のためにも、以下のような食品を摂ることがオススメです。
・牛乳
・チーズ
・プレーンヨーグルト
・ししゃも
・ちりめんじゃこ
・豆腐
「妊婦さんに必要な食事法をしっかり学びたい!」マタニティフードの講座で勉強してみては?

厚生労働省の資料を中心に、妊婦さんの食生活の注意点やオススメの食品などを紹介してきました。
しかし、「もっと本格的に妊娠中の食事について学びたい!」という人は、「マタニティフード」の講座で妊娠中の体の変化や食事、栄養素について、体系的に勉強してみてはいかがでしょうか。
マタニティフードアドバイザー養成講座
「東京カルチャーセンター」が開講する「マタニティフードアドバイザー養成講座」は、通信講座で妊娠前後の食生活の基礎知識を学べます。
妊娠中の食事で気をつけたいこと、妊娠・出産時の不安の払拭法、そして産後注意したいことなどをテキストから吸収できます。
献立を記録することで必要な栄養素が足りているかチェックできる「食事日記」は、食生活の自己管理にも役立つでしょう。
食事日記は講師が直接チェックをしてくれるうえに、アドバイスももらえる点がうれしいところです。
- マタニティフードアドバイザー 講座概要
-
□ 受講費用:38,000円(税込)
□ 受講期間:6ヶ月
□ 送付物:テキスト4冊 食事日記2冊 ガイドブック 添削課題 課題提出用紙集・質問用紙 など
なお、講座を修了するには全課題に合格する必要があります。
妊娠中の人はもちろんのこと、妊娠や出産に関わる仕事をしたい人、すでにそういった仕事に就いている人、そして妊娠を計画中の人にとってもオススメの講座です。
まとめ

妊娠中に気をつけたい食生活や食事のポイントを紹介しました。
主食、主菜、副菜、カルシウムの摂取バランスに気をつけつつ、お酒やたばこなども避けるようにしてくださいね。
マタニティフードアドバイザーの講座が気になる人は、一度調べてみてはいかがでしょうか。
産前産後のケアについてもっと学びたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。
参考サイト
厚生労働省「「妊産婦のための食生活指針」の内容及び解説」(2018年11月15日,https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02a-01.pdf)
楽学ネット「マタニティフードアドバイザー養成通信講座」(2018年11月15日,http://www.nfa.co.jp/ev/)
厚生労働省「妊産婦のための食生活指針 ―「健やか親子21」推進検討会報告書―」(2018年11月15日,https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.html)
厚生労働省「たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう」(2018年11月15日,
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02h.pdf)
厚生労働省「妊産婦の食をめぐる現状と課題」(2018年11月15日,
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a2-01.pdf)
公益社団法人 千葉県栄養士会「妊娠中の食事」(2018年11月15日,https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/generational/ninsintyu/)