医療事務は全国どこでも働けるうえに、働き口の用意も多い職業として知られています。
なかでも女性の人気が高いのが特徴的。
近くの病院や調剤薬局の窓口で対応してくれる職員は女性が多いな、と思った人も多いかもしれません。
人気の高い医療事務ですが、実は資格の種類は80種類以上あります。
多すぎて「どの資格を取ればいいの?」と迷ってしまいますよね。
そこでこの記事ではこれから医療事務を目指す人に、最低限抑えておきたい資格を3つ、厳選して紹介します。
医療事務資格の種類は80種も!?

医療事務資格の種類は80種類以上あるため、
「何でそんなに同じ職種の資格が存在するの?」
と思う人もいるかもしれません。
その理由は大きく2つあります。
1つ目は、医療事務には国家資格が存在しないため、民間資格が次々に誕生したから。
2つ目は、医療事務の仕事内容は多岐にわたり、働く場所によって求められる知識やスキルが異なるからです。
医療事務の全般的な知識が網羅できる資格もあれば、薬剤や介護保険など、特定の専門分野に特化した資格も存在します。
医療事務資格は医療・調剤・介護の分野に分かれる

医療事務が活躍できる職場は主に3つあります。
・病院やクリニックなどの医療施設
・保険調剤薬局
・老人ホームなどの介護施設
このように同じ医療事務でも就職先によって仕事内容に違いがあるため、医療事務の資格は、それに応じて医療・調剤・介護の3種類に分かれているのです。
職場ごとの仕事内容の違い
以下に職場ごとの仕事内容をまとめました。
病院やクリニックなどの医療施設
医療事務といえば、病院やクリニックなどの医療施設で働くイメージが強いかもしれませんね。
医療施設での主な仕事は、受付・レセプト作成・会計です。
医療事務は職場によって仕事内容が多少異なりますが、どの職場にも共通する最重要の業務はレセプト作成です。
入院や手術など、それぞれ患者や診療月にあわせてレセプト作成する能力が必要となります。
調剤薬局
調剤薬局で医療事務として働く場合も、受付・レセプト作成・会計が主な業務です。
調剤薬局においては、レセプト作成の内容が薬剤に特化しています。
したがって、医療保険制度や薬、調剤についての知識が必要になります。
老人ホームなどの介護施設
老人ホームや介護サービス施設で活躍する医療事務もたくさんいます。
介護施設では受付やレセプト作成のほかに、サービス利用などの手続きが発生します。
介護保険制度や介護についての知識も求められますし、自己負担額と保険適用額との差額計算なども必要です。
医療事務資格は就職に役立つ?

医療事務は景気に左右されにくく、シフト制の職場も多いため融通が利きやすいことで知られています。
女性の人気が非常に高いのも特徴です。
そのため、「医療事務の仕事をしたい!」と思っても未経験から採用されるのは少し厳しいかもしれません。
しかし、医療事務資格をもっていれば、現場で必要な技能を備えている証明になり、未経験でも就職につながりやすくなります。
先んじて知識を身につけている方が仕事への理解も深まり、即戦力になり得るでしょう。
まずはこの資格から!初心者が知りたい医療事務資格3選

初心者にとっては、80種類もの資格の中から「これだ」と思う資格を選ぶのは難しいですよね。
まずは医療事務の知識を総合的に学べる資格を取り、そのあとで専門分野を極める資格を取る方法が初心者にはオススメです。
たとえばこんな資格があげられます。
医療事務認定実務者
「医療事務認定実務者」は、比較的新しい資格です。
専門性が高く取得が難しい資格が多いなか、この資格は難易度がやさしめ。
実務的かつ総合的な知識を学べるため、医療事務の入門資格としては最適といえます。
初心者は、手始めに医療事務認定実務者を受験してみることがオススメ。
在宅受験もできるので、空き時間に受験できるのもうれしいポイントです。
- 医療事務認定実務者
-
□ 受験資格:なし
□ 受験費用:
一般受験 5,000円(税込)
団体受験 4,500円(税込)
□ 受験科目:
学科/接遇とマナーに関する知識・医療機関における各種制度に関する知識・医療事務業務に関する知識・診療報酬請求に関する知識
実技/レセプト作成
□ 出題形式:マークシート
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
「医療事務技能審査試験」は歴史が長く、認知度も高い資格です。
大学や専門学校などの教育機関でも活用されており、医療事務の資格としては最大規模の試験となっています。
取得すると、受付業務や診療報酬請求事務業務の技能を証明してくれます。
歯科分野にも対応している資格です。
- 医療事務技能審査試験
-
□ 受験資格:なし
□ 受験費用:7,500円(税込)
□ 受験科目:実技(患者接遇、診療報酬請求事務、診療報酬明細書点検)、学科(医療事務知識)
□ 出題形式:記述問題、多肢選択問題
診療報酬請求事務能力認定試験
医療事務の資格の中で最難関といわれる資格が、「診療報酬請求事務能力認定試験」です。
医療事務の業務内容で最も重要なレセプト作成に関する知識が問われます。
ステップアップのひとつとして、先に紹介した資格で基礎知識を身につけたあと、診療報酬請求事務能力認定試験に挑戦してみてはいかがでしょうか。
- 診療報酬請求事務能力認定試験
-
□ 受験資格:なし
□ 受験費用:9,000円(税込)
□ 受験科目
医科あるいは歯科を選択
医療保険制度・公費負担医療制度・保険医療機関・療養担当規則・診療報酬・薬価基準・材料価格基準・診療報酬請求事務・医学と薬学の基礎知識・医療関係法規・介護保険制度
□ 出題形式:多肢選択問題
医療事務資格の難易度

比較的難易度がやさしめといわれる医療事務認定実務者の合格率は、60~80%。
◆参考:「医療事務認定実務者試験」診療報酬資格認定全国医療福祉教育協会
一方、「最難関」と前述した診療報酬請求事務能力認定試験の平均合格率は、30.3%となっています(医科・歯科総合)。
◆参考:「試験実績」公益財団法人日本医療保険事務協会
両者の合格率の違いは一目瞭然ですね。
医療事務としてのステップアップをはかるコツとしては、まず医療事務認定実務者の資格を取得し、基礎知識を身につけることが考えられます。
医療事務技能審査試験や療報酬請求事務能力認定試験は、一定の技能を備えた後にチャレンジすれば効率的に知識を身につけられるでしょう。
医療事務資格を通信講座・通学講座で取る

医療事務資格を取得するには、通信講座を利用する方法と通学で学ぶ方法があります。
通信講座は費用を安く抑えられる点がメリット
一般的に、通信講座は通学講座よりも資格取得の費用を抑えられることが多いです。
自分のライフスタイルに合わせて、学習のスケジュールを組めるところも魅力的。
時間に融通が利くので、家事や育児、仕事とも両立しやすいでしょう。
モチベーションを維持しやすい通学講座でじっくり学習
通学講座のメリットとして、仲間が見つかる点があげられます。
自分と同じ資格を目指す受講生と同じ環境で学べば、良い刺激を受けられます。
志が同じ人たちと一緒にゴールに向かってじっくり学習できるため「一人で勉強している」という感覚も感じにくく、モチベーションも保ちやすいでしょう。
まとめ

シフト調整の融通が利く職場も多いなど、医療事務は女性に人気の資格です。
小さなお子さんを育てながら働ける職場を探している人にはピッタリかもしれません。
また、全国にある病院の数はいまやコンビニの数よりも多いといわれています。
そのため転勤や引っ越しなどで住居が変わっても、比較的転居先で仕事が見つけやすいといえます。
全国どこでも働ける技能を身に着けたい人にもピッタリです。
まずはこの記事で紹介した資格から取得を目指してみてはいかがでしょうか。
参考サイト
通信講座・通信教育のたのまな「医療事務の資格の種類について」(2018年12月13日,https://www.tanomana.com/medical/column/07/)
公益財団法人日本医療保険事務協会(2018年12月13日,http://www.shaho.co.jp/iryojimu/guidance02/
http://www.shaho.co.jp/iryojimu/exam/records.php)
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)「試験概要」(2018年12月13日,http://www.jme.or.jp/exam/mc/outline.html)
診療報酬資格認定全国医療福祉教育協会「医療事務認定実務者試験」(2018年12月13日,http://iryou-shikaku.jp/exam/certified_practitioners.php)