「学校心理士」は心理教育で子どもの心をケアするプロ!資格概要・試験情報まとめ

学校心理士 資格

2018年に発表された「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(文部科学省)では、小・中学校における不登校児童は14万人にのぼり、割合は1.5%とわかりました。

前年度の不登校児童数は13万人、その割合は1.3%だったことから、不登校児童は年々増えていることが判明しています。

◆参考:文部科学省「平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(その1)」

いじめや非行、暴力行為、自殺といった問題も解消には至っておらず、子どもたちの心のケアや健全な発育のサポートは急務といえるでしょう。

そこで、心理的な援助が必要な子どもたちや保護者、教師、学校を対象とした仕事をしたい人は「学校心理士」の資格をチェックしてみてはいかがでしょうか。

資格概要や取得方法、試験内容を解説します。

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「学校心理士」は学校に関わる人たちの心理的援助を行うプロ

学校心理士

「一般社団法人学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会」によって認定され、心理教育的援助の専門家として活動できる資格が、「学校心理士」です。

学校心理士の資格は、学校現場で問題となっている不登校やいじめ、学級崩壊などのサポートや学習障がい(LD)・注意欠陥多動性障がい(ADHD)・高機能自閉症といった障がい児への援助を目的としています。

学校生活に困難や問題を抱える子どもや周囲の保護者、教師、学校に対し、学校心理士は「学校心理学」の知見をもとに援助支援のサービスを行うのが仕事です。

1997年から始まった学校心理士の資格には、2011年度から上位資格として「学校心理士スーパーバイザー(CSP-SV)」も加わりました。
学校心理士に準じる下位資格として「准学校心理士」も認定されています。

2017年に廃止された学校心理士補(有効期限内に資格更新手続きをすれば「士」を取得できる制度に改正されました)も含めると、2019年1月1日現在、学校心理士関連の資格保有者は4,200人。

◆参考:一般社団法人 学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会「学校心理士とは」

学校の現場に起こりがちな問題の収束が難しい現状を鑑みると、学校心理士関連の資格保有者は今後も増えていくかもしれません。

学校心理士の活躍場所

学校心理士の活躍場所は幼稚園から高校はもちろんのこと、特別支援学級や特別支援学校も含まれます。

なかには教育委員会や教育相談室、教育センターなどで働いている人もおり、活動の幅は広いといえるでしょう。

また、保育士や幼稚園教諭、その他心理カウンセリングに携わる仕事をしている人(「心の教室相談員」など)はスキルアップの一環として取得することもオススメです。

学校心理士の資格取得方法!申請条件は要チェック

学校心理士 資格取得 方法

学校心理士の資格は、申請条件をクリアした人のみが試験を受けることができ、審査を経て合格となります。

審査の中にはスーパーバイザーから指導を受けて作成する「ケースレポート」の提出も含まれています。

晴れて合格できた場合は、登録料と日本学校心理士会会費を納めます。

学校心理士の認定料は計50,000円(登録料20,000円+会費・5年分30,000円)です。

資格は5年毎の更新制のため、5年分をまとめて初年度に支払います。

申請条件には心理学の履修経験・現場経験が必要

学校心理士の資格を取るためには、大学・大学院にて心理学関係の単位を修得していることや3年以上の実務経験などが条件となっています。

クリアしている条件によって申請類型が変わるため、しっかりチェックしておくことが大切です。

学校の先生や保育士、幼稚園教諭なども勤続年数によって条件に当てはまることがあります。

また、公認心理師の資格をもつ人も資格取得の申請対象になります。

以下が資格の申請条件です。

◯大学院で学校心理学関係の科目の単位を修得し、修士課程・専門職学位課程を修了し、 学校心理学に関する専門的実務経験を1年以上有する方(1年未満の方は、「学校心理士補」として申請できます)
※「学校心理士補」の資格申請は,2017年度をもって廃止となりました
◯4年制大学卒業で学校心理学に関する専門的実務経験を5年以上有する方
◯大学または大学院で授業を2年以上担当し、学校心理学の8領域に関する研究業績を5編以上有する方
◯公認心理士資格を有する方(学校心理士認定運営機構が開催する講習会に参加することが必要です)
◯学校の管理職または教育行政職として、心理教育的援助サービスに関する指導的な役割を3年以上有する方 (申請時において、その職を辞してから5年を経過した方は除きます)
◆引用元:一般社団法人 学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会「2019年度の資格認定申請について」

申請書類を確認!「手引き」の入手は不可欠

学校心理士認定運営機構では「手引き」「ガイドブック」「過去問題集」の3つが販売されています。

「手引き」には申請書が含まれるため、必ず申請をする年のものを手に入れるようにしましょう。

「ガイドブック」と「過去問題集」は必須購入ではありませんが、セットで購入すると割引になるため、必要な人はまとめて購入するのがオススメです。

申請書の一部はWebからもダウンロードできますが、すべてではないため、書き損じたときの予備として考えておくといいでしょう。

購入価格
□ 手引き(2019年度):3,240円
□ 学校心理学ガイドブック(第3版):2,160円
□ 過去問題集(2018年・2019年度版):1,080円
セット割引
□ Aセット(すべて購入):6,000円
□ Bセット(手引き+ガイドブック):5,000円
□ Cセット(手引き+過去問題集):4,000円

資格取得にかかる費用

学校心理の試験を受けるための認定審査料は32,400円(税込)です。

指定の郵便局口座へ振込、払込受領証のコピーを申請書に貼付して提出します。
払込を終えたら受領証のコピーを申請時に提出しなければならないため、注意しましょう。

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学校心理士の試験には4タイプある

学校心理士 試験

学校心理士の試験内容はタイプが4つに分かれており、どの試験を受けるかは、申請時の類型によって異なります。

試験は、
・論述式の「試験Ⅰ」
・多肢選択式の「試験Ⅱ」
・面接の「試験Ⅲ」
・講習会を含む「試験Ⅳ」
の4タイプです。

類型には1A、1B、2、3、4、5、6、7があります。

各類型の概要
□ 類型1A:「学校心理学関連大学院修了者および修了見込者」
□ 類型1B: 「公認心理師関連大学院修了者および修了見込者対象 」
□ 類型2:「教員の経験を有する者対象(教育職員免許状もしくは保育士資格を有する者)」
□ 類型3:「相談機関等の専門職従事者対象」
□ 類型4:「大学・短期大学等の教員対象」
□ 類型5:「学校管理職または教育行政職の従事者対象」
□ 類型6:「公認心理師資格を有する者」
□ 類型7:「海外での資格取得者対象」

◆引用元:一般社団法人 学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会「申請類型」

試験Ⅰの受験が該当する人は、類型1A、1B、2、3、5、7です。

試験Ⅱは類型2、3。試験Ⅲに関しては類型4のみで、試験Ⅳも同様に対象者は類型6に限られています。

合格に欠かせない!「ケースレポート」の提出

学校心理士を取得するには、試験に合格するとともにケースレポートの審査を通過する必要があります。

ケースレポートとは、申請時から5年以内に学校心理士スーパーバイザーから指導を受けたケースについて、学校心理学の知見のもとに書くレポートのこと。

スーパーバイザーの指導内容を自分でどのように支援活動に取り入れたのか、具体例も交えた記述が不可欠です。
なお、実習も含め大学院で受けた授業を書くことも認められています。

ケースレポートは、参考文献や引用文献などの情報も含めてA4サイズ片面10枚で提出します。

作成方法は「手引き」や「ガイドブック」にくわしく書かれているため、そちらを参考にしましょう。

提出は申請時となるため、時間にも余裕をもってしっかりと準備をしておくことをオススメします。

経験豊富なスーパーバイザーに依頼しよう!

肝心の指導元であるスーパーバイザーに指導を依頼するにあたり、確認しておきたいことがあります。

それは、指導してもらうスーパーバイザーに豊富な学校心理学の知識と経験があること。

必須条件ではありませんが、できれば上位資格である「学校心理士スーパーバイザー」か「学校心理士」を取得している人に依頼することが望ましいとされています。

資格申請者が類型2に値する場合、校長や教頭、スクールカウンセラーといった人に依頼をするケースもあります。

学校に勤務する臨床心理士にお願いしてみるのもよいでしょう。

「スーパーバイザーの探し方がわからない」「身近にスーパーバイザーになってくれる人がいない」という人は、学校心理士認定運営機構のHPにある「学校心理士スーパーバイザー(CSP-SV)」の一覧や「日本学校心理士会」の支部の情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

◆参考:一般社団法人 学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会「学校心理士とは」

まとめ

学校心理士 まとめ

学校現場などで困難や障がいを抱える子どもや保護者・先生を直接サポートできる学校心理士は、今後も広く求められる存在です。

資格取得の申請条件を満たす経験年数も必要ですので、人によっては今すぐ取得することは難しい資格かもしれませんが、しっかり準備を進めれば合格を目指すことは可能です。

まずは自分に適した類型を確認することからはじめてみましょう。

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