子どもの病気、6割が「母親が仕事を休む」そんな社会を変えたい「日本病児保育協会」【取材レポート】前編

病児保育とは、軽度の突発的な病気が理由で、保育所で預かってくれない子どもを預かりケアすること。ドラマ「37.5℃の涙」(2015年)で病児保育について初めて知った方も多いかもしれません。今回は、病児保育のプロになるための資格「認定病児保育スペシャリスト」を展開する日本病児保育協会に取材をさせていただきました。前編では「病児保育に必要なスキルは?」「病児保育をめぐる日本の問題は?」などを詳しくうかがいます!

病児保育は、現役保育士が一番学びたい資格・スキル

ウーモアが以前行ったアンケートでは、「病児保育」は現役保育士さんが取りたい資格1位でした。そんな病児保育を学ぶには、資格講座の受講が近道。今回の取材先「日本病児保育協会」は、日本初の病児保育のプロを目指せる資格「認定病児保育スペシャリスト」を展開しています。

▼お話をうかがった田中様(左)と三枝様(右)
日本病児保育協会 田中様と三枝様

お忙しい中あたたかく迎えていただきました。本日はよろしくお願い致します!

Q1.まずは日本病児保育協会について簡単に教えてください。

田中様:
日本初の病児保育のプロを目指せる資格「認定病児保育スペシャリスト」を提供しています。設立は2012年9月で、「認定病児保育スペシャリスト」資格の展開を通じて、病児保育の担い手を養成し、病児保育の質と認知度を高めていくことを活動目的にしています。

Q2.病児保育とは、具体的にどのようなことをするのですか?

田中様:
お子さんの熱が37.5℃を超えると、多くの保育園・幼稚園では預かってもらえません。風邪や発熱など、軽度ではあるけれど保育所で預かってもらえない突発的な体調不良を起こしたお子さんを預かり、適切なケアを行うことが病児保育です。

Q3.他の保育従事者とは違う、病児保育ならではの必要な素質や適性はありますか?

田中様:
一般的な保育園や幼稚園と違って病気のお子さんを預かるので、保育に加えて病気や看護の知識とスキルが必要です。病気のお子さんは急変することもあるため、急激に熱が上がったり痙攣を起こしたりした時に備えて、観察力・判断力・対応力も求められます。また、「病気でも充実した1日を過ごさせてあげたい」という気持ちも大切だと思います。

日本病児保育協会イメージ画像01

Q4.病児保育を普及させるにあたり、現状の日本はどのような問題がありますか?

田中様:
共働き、女性の社会進出が当然になりましたが、働き続ける上で一番ネックになるのが、子どもが病気になった時の預け先がないことです。病児保育施設は保育所全体の約7.2%(2016年現在)と圧倒的に少ない現状があります。

三枝様:
2016年9月末の最新のデータでは、病児保育事業の年間利用者数は延べ61万人です。政府はこの病児保育事業の年間利用者数を、2020年に延べ150万人まで増加させる目標を掲げています。利用者数自体は増えていますが、目標まではまだ遠い道のりです。今後3年間で、約2.5倍のお子さんが病児保育を利用できる状況を整えていかなくてはいけません。

インタビュアー:ニーズは大きいのに、病児保育施設も病児保育の担い手も不足しているのですね。

田中様:
はい。病児保育施設は、主に小児科の併設施設、保育園、訪問型事業所の3種類がありますが、施設自体がなかなか増えないことに加えて、施設が増えても質の良い病児保育の担い手がいないことに、大きな問題意識を持っています。

三枝様:
子どもを持つ共働き家庭の父親・母親を対象に当会が行った2015年のアンケートでは、子どもが病気になった時の最も多い対応は「母親が仕事を休む」で、6割を超えています。感染力が強い病気の場合は、1週間程度休まなければいけない場合もあります。そうして負担が母親(ワーキングマザー)に集中するため、勤め先の業務に支障が出たり評価が下がったり、という問題も徐々に顕在化してきています。

日本病児保育協会グラフ01

インタビュアー:ワークライフバランスが発展途上の日本では、病児保育は不可欠ですね。

三枝様:
良質な病児保育の担い手が全国に広まることによって、ワーキングマザーの方々にとっての「選択肢」が増えればと思っています。仕事を休める人は休めばいいし、親に預けられる人は預ければいい。でも、仕事も休めないし、親にも預けられないワーキングマザーもたくさんいるはずです。そんな病児保育がないと仕事を続けられない方々の切り札になれるよう、病児保育のプロをどんどん輩出していきたいです。

Q5.病児保育を普及させるために、日本病児保育協会が行っている取り組みは?

田中様:
「認定病児保育スペシャリスト」資格の認定、認定者(資格取得者)が継続的に学ぶための研修会、現役保育士さんにも役立つ認定者以外の方向けセミナー、保育士養成校など外部への講師派遣、ホームページ、Facebook、ツイッター、メールニュースを通じた啓発活動などを行っています。

Q6.病児保育に対する認知度は、日本ではどの位ありますか?

三枝様:
子どもを持つ共働き夫婦の半数以上が病児保育を認知していますが、父親と母親では大きな差があります。母親は70%以上が認知していますが、父親は40%弱
病児保育サービスの利用意向についても、「利用したい」と答えた父親が26%なのに対して、母親は48%です。実際に子どもが病気の時に負担が集中するのは母親なので、その切実さがこうした差に表れていると思います。

日本病児保育協会グラフ02

インタビュアー:ドラマ「37.5℃の涙」の放送以後、受講希望者は増えましたか?

田中様:
増えていますね。今までは既に病児保育に携わっていた方が体系的に学び直すために受講する例が多かったのですが、ドラマをきっかけに病児保育を知った若い方が、当会のHPを見つけて受講を始める例も増えてきました。

三枝様:
卒業時に保育士資格が取得できる保育士養成校のカリキュラム用に「認定病児保育スペシャリスト」資格のアカデミック版も展開しているのですが、そちらの受講希望者も2016年は2015年と比べて増えています。
子どもが突発的に体調を崩す事態は保育園で必ず起きることですし、そこで必要とされるのは病児保育の知識です。その将来を見越して、保育士を目指す方たちが病児保育を学ぶ例が増えていることは嬉しい傾向ですね。

Q7.日本病児保育協会の、今後の展開や展望を教えてください。

田中様:
まずはホームページ、Facebook、ツイッター、メールニュースを通じて「認定病児保育スペシャリスト」資格を広めていきます。そして、資格で学べる内容をさらに充実させることで、質の高い病児保育の担い手を多く輩出していきたいです。

三枝様:
病児保育に携わる方たち同士でつながれる場、病児保育の知識・スキルを底上げできる機会をもっと増やしていきたいです。当会のセミナーに参加するためだけに新幹線に乗って来られる方もいるので、そうした方たちが全国どこでも学べるように、セミナーのインターネット同時配信オンデマンド配信なども構想中です。

インタビュアー:すでにweb講座を提供されていますが、ますます多くの方が学べるようになりますね!

Q8.病児保育に関心がある方、病児保育のプロを目指したい方にメッセージをお願いします。

日本病児保育協会 田中様と三枝様02
田中様:
私が子育て真っ最中の20年前は、子どもが病気になった時は今以上に「お母さんが看るのが当然」の社会。周りに頼れる人もいなくてとても苦労したので、同じ悩みを抱える方のお気持ちがよく分かります。男女ともに子育てしながら安心して働ける社会にするために、病児保育は不可欠な存在なので、ぜひその仲間として加わってほしいです。これから病児保育が当たり前に利用できる社会にしたいし、必ずなると思っています。

三枝様:
私の2人目の子どもが幼い頃によく体調を崩す子で、当時の勤務先を退職せざるを得なかった経験があります。当時の仕事を断念してしまったことが長い間心の中でひっかかっていましたが、病児保育に関わる仕事をするようになって、あの時仕事を辞めたのは今の仕事に出会うためだったんだと思えるようになりました。お子さんが病気になった時、病児保育を必要とする親御さんが安心して利用することができるよう、知識と実践力が伴った病児保育の担い手が今こそ必要です。病児保育について学ぶことは保育者としてのスキルアップにつながると確信しています

病児保育は、共働き家庭・働く母親の心強い味方

困っている1人でも多くのお母さん・お父さんに、病児保育という選択肢を知ってほしい!助けたい!仕事と子育ての両立に悩んだ経験を持つお二方からは、終始このような思いが強く伝わってきました。
保育の現場で「もっと保護者を支えたい」と思っている方、仕事と子育ての両立に悩んだ経験がある方は、病児保育のプロを目指す資格講座「認定病児保育スペシャリスト」で学んでみてはいかがでしょうか?共働き家庭・働く母親の心強い味方になれるはず。後編では、そんな「認定病児保育スペシャリスト」資格を詳しく掘り下げます!
▼後編はこちらから!
病児保育を0から学べる【認定病児保育スペシャリスト】「日本病児保育協会」【取材レポート】後編
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【本記事内のグラフについて】
情報提供元:一般財団法人 日本病児保育協会(2015年)
調査対象:小学校就学前の子どもを持つ共働きの父親・母親
有効回答:600件
調査時期:2015年5月22日~2015年6月8日

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