保育士試験に新制度!3福祉士の資格者は一部科目が免除に

平成29年5月24日、「保育士養成課程等検討会ワーキンググループ」主催の検討会において、福祉系国家資格保有者の保育士資格取得についての新たな対応が話し合われました。結果、福祉系国家取得者の保育士試験の一部科目免除と、介護福祉士養成課程における履修科目の免除が、厚生労働省に認可されることとなりました。免除が適用されるのは、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の3福祉士の国家資格保有者です。今回の新免除制度について、詳しく見ていくことにしましょう。

保育・子育て関連の資格・講座・スクールを探す

保育士養成課程と福祉系国家資格養成課程の比較

比較
現在、保育士養成課程は教養科目、必修科目、選択必修科目の3つから構成されています。その中の必修科目を、保育に関する科目福祉職の基盤に関する科目の2つに大きく分けたことが、今回の検討会の出発点となりました。

「保育に関する科目」と「福祉職の基礎に関する科目」の共通点

「保育に関する科目」は、主に保育の理念・概念や内容・方法など、保育の専門性に関する内容が中心となる科目です。一方の「福祉職の基盤に関する科目」は、保育を含む福祉制度の基礎的知識や対人援助・生活援助の基礎など、福祉職の基盤となる内容が中心の科目です。ここが今回の検討の核となった部分といえます。
実は、今回の免除が適用された介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の養成課程における履修内容と、保育士養成課程における「福祉職の基盤に関する科目」は、共通する点が多く含まれているのです。

「福祉職の基盤に関する科目」と同様、3福祉士の養成課程においても、対人援助や生活援助などといった福祉職の基盤となる内容は修得の対象です。このことを皮切りに、福祉系国家資格所有者が保育士資格を取得する際には、保育士養成課程の「福祉職の基盤に関する科目」と内容が共通する部分については免除する意向が固められました。

免除が適用される3福祉士

免除
今回の保育士試験の科目免除が適用される福祉系国家資格は、介護福祉士社会福祉士精神保健福祉士の3福祉士です。

介護福祉士とは

社会福祉士及び介護福祉法(昭和62年法律第30号・第2条第2項)によれば、介護福祉士は、
「専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者である。」
とされています。介護福祉士の養成課程は、以下の3領域から教育内容が構成されています。
・その基盤となる教養や倫理的態度の涵養に資する「人間と社会」

・「尊厳の保持」「自立支援」の考え方を踏まえ、生活を支えるための「介護」

・多職種協働や適切な介護の提供に必要な根拠としての「こころとからだのしくみ」
介護福祉士について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【2018年最新版】介護福祉士の概要・筆記&実技試験・今後を全網羅!

2018年9月27日

社会福祉士とは

社会福祉士及び介護福祉法(昭和62年法律第30号・第2条第1項)によれば、社会福祉士は、
「専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師そのほかの保健医療サービスを提供する者その他関係者との連絡及び調整その他の援助を行うことを業とする者である。」とあります。

ちなみに、社会福祉士の養成課程は、以下の5つによって構成されています。
・「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」

・「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」

・「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」

・「サービスに関する知識」

・「実習・演習」

精神保健福祉士とは

精神保健福祉法(平成9年法律第131号・第2条)によれば、精神保健福祉士は、
「専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者をいう。」
と言われています。精神保健福祉士養成課程における教育内容は、以下の6科目群から構成されています。
・「人・社会・生活と福祉の理解に関する知識と方法」

・「総合的かつ包括的な相談援助の理念と方法に関する知識と技術」

・「医療と協働・連携する相談援助の理念と方法に関する知識と技術」

・「地域福祉の基盤整備と開発に関する知識と技術」

・「サービスに関する知識」

・「実習・演習」
精神保健福祉士について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

国家資格「精神保健福祉士」は通信でも資格が取れる

2017年2月23日

いったい何が免除になるの?

何が?
今回の新制度において具体的にどういった部分が免除されるのでしょうか。主に2つの内容が発表されています。

保育士試験の一部科目が免除される

一部科目の免除については、以下の条件が明示されています。

指定保育士養成施設で試験科目に対応した教科目を履修した場合には、それに対応する試験科目の免除を行う。このうち、「福祉職に関する科目」に対応する試験科目については、他の福祉系国家資格を所有していることをもって履修免除を行う。
◆引用元:厚生労働省「「保育士養成課程等検討会」ワーキンググループにおける議論の整理」

以上の条件を受けて、免除に「対応する指定保育士養成施設の教科目」と、「福祉職に関する科目」に対応する筆記試験科目は以下の通りです。
「対応する指定保育士養成施設の教科目」と、「福祉職に関する科目」に対応する筆記試験科目

参考:厚生労働省「「保育士養成課程等検討会」ワーキンググループにおける議論の整理」
なお、(講)とは講義形式のことで、(演)とは演習形式の科目を指し、○は各教科の単位数を表しています(②であれば単位数は2単位ということ)。

介護福祉士養成課程の履修科目免除

もう一つの免除の具体的な内容は、介護福祉士養成施設の卒業者が指定保育士養成施設で保育士資格を取得する場合、「福祉職の基盤に関する科目」に該当する科目の履修が免除されるというものです。
介護福祉士養成施設の卒業者が免除される履修科目は、以下の通りです。いずれも必修科目に該当します。

介護福祉士養成施設の卒業者が免除される履修科目
□ 児童家庭福祉(講義)
□ 社会福祉(講義)
□ 相談援助(演習)
□ 社会的養護(講義)
□ 家庭支援論(講義)
□ 社会的養護内容(演習)

また、選択必修科目の中の保育実習に該当する科目についても、「保育実習Ⅲ」において介護福祉施設での実習が認められていることから、「保育実習Ⅲ」及び「保育実習指導Ⅲ」の履修の免除が適用されることが決定されました。
ちなみに、保育士養成施設卒業者に対する介護福祉養成施設での一部科目免除は既に制度化されています。このことを受け、厚生労働省は今後、介護福祉士養成施設と保育士養成施設が相互に履修科目を免除できるように方策を検討していくと表明しています。

今後の方策について

3福祉士以外の福祉系国家資格者の免除は?

厚生労働省は、今後の方策に関して、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士以外の医療・福祉系の資格において、複数共通の基礎課程を創設することも検討しています。将来的には、資格ごとの専門課程と2階建ての養成課程へ再編することも目指していると発表しています。

子育て支援員の対応は?

子ども・子育て新制度において創設された、子育て支援員。子育て支援員とは、「東京都が定めた研修(「基本研修」及び「専門研修」)を修了し、保育や子育て支援分野の各事業等に従事する上で、必要な知識や技能等を修得したと認められる方のこと」を指します。

子育て支援員に関する研修は、「保育や子育て支援等の仕事に関心を持ち、地域で保育や子育て支援分野の各事業等に従事することを希望する方、又は従事している方を対象として、必要な知識や技能等を修得」してもらうための研修です。

子育て支援員の研修、そして支援員の養成は今後政府が力を入れていきたい施策の一つではあるでしょうが、支援員を一定数確保できていないこと。活動実績が充分蓄積されていないこと。そして活動の実態や保育人材の確保が困難となっていることなどの現状から、子育て支援員が保育士資格を取得する際の対応については、こういった現状を考慮しつつ検討していく必要があるようです。

保育・子育て関連の資格・講座・スクールを探す

まとめ

まとめ
保育士試験における新免除制度について解説しました。保育の人材確保は急ピッチで進めていく必要がある社会問題です。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の3福祉士の資格を既に所有している方で、近年社会問題となっている保育の人材不足に貢献したい方。介護福祉士養成施設を卒業して、これから保育士養成施設で保育士資格の勉強をしようとお考えの方には、今回の新免除制度は朗報ですね。

保育士資格と親和性のある医療・福祉系の国家資格がこのように相互に免除されていけば、保育士資格を取得するハードルも下がっていくのではないでしょうか。

保育士資格の取得方法について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

保育士になるには?保育士資格の取得方法まとめ

2017年1月25日

保育士資格講座は、以下から詳細を確認でき、無料で資料請求もできます。

参考サイト

厚生労働省『「保育士養成課程等検討会」ワーキンググループにおける議論の整理』(2017年6月8日,http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/shiryou1_3.pdf)

公益社団法人 日本社会福祉会「社会福祉士とは」(2017年6月8日,https://www.jacsw.or.jp/01_csw/04_cswtoha/shigoto.html#shikaku)

公益財団法人 東京都福祉保健財団「子育て支援員研修事業」(2017年6月8日,http://www.fukushizaidan.jp/111kosodateshien/)

ABOUTこの記事をかいた人

「なりたい自分」に近づくヒントや情報を提供し、女性の自己実現を応援します。
資格やキャリア、保育に関する情報をピックアップしてお届け!LINE@友達になる

役に立ったと思ったら、シェアをお願いします♪