

目次
保育士の仕事内容
保育士の業務は、想像以上にたくさんあります。
- 保育士の業務内容
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□ 食べる・眠る・着替え・排泄など、子どもに基本的な生活習慣を教える
□ 子どもの身の回りの世話をする
□ 集団生活を通じて子どもに社会性や自立心、感性を養わせる
□ 子どもと一緒に遊ぶことで心身の健康の発達を促進させる
□ 保護者サポート(子育てや教育に関する相談を受けたり、子どもの1日の活動報告をする)
□ 地域と深く連携して、園庭の解放や園内行事を実施する
□ 春夏秋冬ごとの行事を企画・実施する
□ 施設内の安全点検
□ 施設の環境整備
□ 事務仕事
このように、子どもたちに対する保育業務はもちろんのこと、園の運営に関わる業務。事務仕事や、保護者対応など、単純に子どもと接することだけが保育士の業務内容ではありません。
勤務形態はシフト制
保育士は基本的にシフト制で勤務にあたります。
早・中・遅番に分かれていることがほとんどです。
公立・私立によって、シフトの時間に違いはあります。ただし、公立・私立にかかわらず、一般的に勤務時間は8時間です。
- シフト時間の目安
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□ 早番:7時~16時頃まで
□ 中番:8時~17時頃まで
□ 遅番:9時~子どもが帰るまで
※あくまで目安です。勤務開始、終了時間は園によって前後することもあります。
公立の保育園の場合、8時から20時までがおおよその勤務時間だといわれています。
私立の保育園も、8時(前後)から20時(前後)までが勤務時間であることが多いといわれています。
また、私立の保育園は運営元が一般企業や、学校法人、NPOなど多種多様なので、教育方針や運営方針の面で個性が分かれます。
延長保育あり、24時間預かりOKの私立保育園もありますので、そのような保育園はシフト時間も上記の目安とは異なってくるでしょう。
行事の準備・実行も大切な仕事
保育園では、春夏秋冬の季節に応じた伝統的な行事や、園児の誕生日を祝うお誕生日会、遠足など、さまざまなイベントが開かれます。
保育園で行われることの多い行事には、以下のようなものがあります。
春の行事(4月~6月上旬)
●入園式
●新入園児歓迎会
●保護者会
●春の遠足
夏の行事(6月下旬~8月)
●プール開き
●七夕会
●夏まつり
●お泊り会
秋の行事(9月~11月)
●運動会
●秋の遠足
●ハロウィン
●保護者の保育参加イベント
●いもほり大会
●引っ越し訓練
●職員研修
冬の行事(12月~3月)
●お遊戯会
●クリスマス会
●おたのしみ会
●節分
●ひな祭り
●お別れ会(お別れ遠足)
●卒園式
その他、お誕生日会や避難訓練、親子遠足などの親子で参加するイベントもあります。
園内行事やイベントに伴って、保育士には施設内に展示する制作物や、お遊戯会で園児が着る衣装を作る仕事も求められます。
手先が器用だったり、クリエイティブなセンスを持っている方にとっては、腕の見せどころですね。
保育園の行事のねらいは、「保育をわかりやすく可視化し保護者への説明責任を果たすいい機会になり、同時に保育を厚くし保育施設での日常を活気づける」ことにあるといわれています。
そのような意義をもつ園内行事の企画・準備から実行までを管理し、執り行うのも、保育士の大事な仕事のひとつといえるでしょう。
意外と多い!事務仕事
子どもと遊び、心身の発達をサポートするのが保育士の仕事の全てではありません。
実は、事務的な仕事も欠かせない業務なのです。
保育士に求められる事務仕事として、以下の例があげられます。
- 保育士の主な事務仕事
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□ 園内おたより作成/保護者へのメール配信
□ 園児台帳の管理
□ 指導計画(日案・月案・年案)の作成
□ 保育日誌の作成
□ 業務の引き継ぎ情報の共有
□ 勤務シフト作成
□ 写真の販売
□ 園児の登降園管理
□ 預かり延長料金などの請求管理作業
意外とこまごました事務仕事が多いんだ・・・と驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
事務仕事をする際は、ぜひ効率的にこなしていくことを意識してみましょう。
保育士業務にも活かせるオススメ資格はコチラの記事で紹介しています。
●保育士業務にも活かせるオススメ資格3選
1日のスケジュール
保育士は、保育園での1日をどのように過ごしているのでしょうか。
基本的に、担当する園児の年齢毎にスケジュールは異なるようです。
以下に紹介するグラフは、保育士の1日のスケジュールの例です。
3歳児~5歳児を担当する場合(あくまで一例)

0歳児~1歳児を担当する場合(あくまで一例)

0歳児~1歳児といった乳児の場合は、個人の生活リズムに合わせたスケジュールになるため、3歳児~5歳児担当とはスケジュールが若干異なるということを覚えておくとよいでしょう。
保育士の朝
早番担当の保育士は、園児たちが登園してくるよりも前に出勤し、開園準備をする必要があります。
園児たちが登園してきたら、子どもたちの荷物と保護者から連絡ノートを預かり、子どもの体調が芳しくないなど、その日の保育に必要な情報を保護者から聞くのが、朝のメインイベントです。
保育士の昼~夕方
昼の時間は、保育士にとって一番忙しい時間帯だといえるでしょう。
遊びの時間、昼食、午睡、おやつと園児たちをサポートする一方で、スキマ時間を見つけて事務仕事もこなさなければなりません。
昼食の時間
昼食では、食事の補助をしたり、箸の持ち方をサポートしたり、食後の歯磨きを習慣づけるなど、日常生活の基盤を作る指導を行います。
遊びの時間
遊びの時間は、年齢ごとのクラスによって活動内容も異なります。
散歩、お絵かき、工作など、子どもたちと一緒に楽しみます。
ただし、ケガをするような危険な行為をしていないか、工作などがうまく出来なくて困っていないかなど、子どもたちの様子をきちんと観察して監督することも忘れずに。
その子の成長度合い、性格、お友達との関係性、健康状態など、園児たちの日々の変化と成長を見守り、正しく指導しましょう。
午睡の時間
園児たちがお昼寝をしている間は、保育士が事務仕事を処理するチャンスです。
しかし、ぐずついてなかなか寝ついてくれない。途中で起きてしまうなんてことも珍しくありません。
また、保育士には午睡中の園児が正常に呼吸をしているか、定期的に確認する義務があるため、事務作業に一点集中するのはなかなか難しいかもしれません。
うまく仕事を回していけるよう、時間を有効活用する方法などを考え、業務処理のコツをつかめるようになるといいですね。
保護者とのコミュニケーション
保育士が接するのは、子どもだけではありません。
保護者とも日々、送迎時や連絡ノートなどを通じて密に関わります。
保育士と保護者は、子どもの成長を見守り、子どもが心身ともに健やかに育つのを支える役割を担っている点で、パートナー的な関係性にあるといえましょう。
厚生労働省が制定した保育所保育指針では、「保護者に対する支援」という項目が設けられています。いわゆる「保護者支援」と呼ばれるものですが、この保護者支援も、保育士に求められる大事な業務のひとつです。
「保護者支援」とは?
保育士として培った保育の専門知識や技術を活かして、保護者から子育てに関する相談に乗ったり、援助をする。
そして最終的に、「子どもと保護者の関係や、保護者の子育ての力(技術・知識)を高めていく」ことを目的としているのが、いわゆる保護者支援です。
なぜ保護者支援が大切なのか?
現代の日本社会では、社会・労働環境の変化(女性の躍進的な社会進出など)や、核家族化、地域の人間関係の希薄化などにより、子育ての不安や課題を抱え、誰にも相談できずにストレスを溜め込んでしまう保護者が増加しています。
昔は、近くに祖父母が住んでいたり、地域の人々の協力があるなど、周りの人も巻き込んで子育てをするという社会的、一種の文化的な子育て体制がありました。
しかし、上述したような時代のバックグラウンドによって、一人で子育ての全てを抱え込み、周囲に「助け」を求められない保護者(とくに母親)が、現代の日本ではたくさんいるのです。
「助け」を求められなかったばかりにうつになったり、最悪の場合我が子を虐待してしまうケースも少なくないといいます。
つまり、保育士が保護者支援をすることによって、結果的にその効果や影響は、子ども自身の育ちに大きく作用するのです。
保育所で行われる子どもに対する保育業務と、保護者支援とは相互に影響し合います。
保護者のメンタルのサポートや、家庭での保育指導の支援は、結果として子どもの健やかな心身の成長に影響する。
すなわち、「保育の現場」に全て返ってくるといえるのです。
保護者支援に大切なことはコミュニケーションです!
厚生労働省の掲げた「保育所保育指針」の「第六章 保護者に対する支援」を見ると、保護者支援のベースは、やはりなんといっても保育士と保護者のコミュニケーションにあるように意訳できます。
園児は「子ども」ですが、保護者は「大人」です。
相手が「大人」であるがゆえに、感情の機微を汲み取りきれなかった、お互いの意思の複雑なすれ違いがあったなど、時にコミュニケーションのバランスに課題を感じることもあるでしょう。
ウーモアの姉妹サイトである「ほいくらいふ」には、保護者と良好なコミュニケーションを取るためのちょっとしたコツを紹介した記事が掲載されています。
ここに、その一部をご紹介しましょう。
明日からスグ実践できる!コミュニケーションの取り方のポイント
・お迎えの際に、1日の中で「素敵だな」と感じた子どもの姿を伝える
「素敵だな」と感じた場面をいくらでもシェアしてください。そのような報告は、保護者にとって子どもへの愛を再確認するきっかけになります。(略)我が子と一緒に過ごす時間が物理的に少ない保護者にとって、自分の知らない所での子どもの素敵な姿を他者から聞くことほど、愛おしくて嬉しい瞬間はないと思います。(略)
【実例】毎日伝えたことで保護者との関係が変わっていった
何より、保護者の方の笑顔が増えました。「子育て・仕事でいっぱいいっぱい」「表情が硬かった」保護者の方も、毎日伝えることでだんだんと表情が柔らかくなり、気づくとお互いの間に信頼関係が生まれていました。
◆引用元:ほいくらいふ「保護者との上手なコミュニケーションの取り方~お迎え・面談編~」
子どもの成長をサポートするのは、保育士として当然の仕事です。
しかし、信頼の上に成り立つ保護者との関係構築や支援も、保育士の立派な業務であることを覚えておきましょう。
もし、保護者から理不尽な要求をされた場合はコチラの記事が役に立つかもしれません。
保育士のやりがいは?
保育士を目指している方。保育士を目指そうと思っている方。保育士試験に向けて勉強真っ最中の方。
そんな方々にとっては、実際の保育の現場は、まだ自分の体験や経験として、知らない世界でもあります。
実際に保育士として働いている方々は、いったいどんなところに保育士という仕事のやりがいを感じているのでしょうか?
いくつか、保育士さんの生の声をご紹介しましょう。
昨日から前いた勤務先に異動になったけど1歳の頃持ってた子が4歳になってて「先生とまた遊べるの嬉しい!」って抱きついて来てもうこれだけで保育士やっててよかったと思ったわ
◆引用元:Twitter「がるる@0701sr400」
3週間ぶりに会った3歳のいとこがこんなにも成長してるのに感動してる お礼も言えなかったのにお土産あげたら真っ先にありがとう言ってくれて 喋れるようになってる〜 やっぱり子供の成長に間近に関われる保育士選んでよかった〜👶可愛すぎる
◆引用元:Twitter「いずみるか@maruka1010」
やっぱり子どもたち、とってもかわいいんですよね~。。(略)
私の場合は一緒に一緒に楽しむ!一緒に成長、が
モットーだったような気がします。 (略)
以下、保育に携わる方のインタビューを御紹介しますね。(略)
松原の保育園時代の同期、SAEKOさんに聞いてみました!(略)
■充実感を感じる瞬間は?
「これほど、責任感の重い仕事もなかなかないよね。
人様の大切にしているお子さんを、命を預かるその責任。
あの給料にしては、ありえないほど重たいよね。保育士さんは大変だと思う。
日々大変なんだけど・・・、6:4の割合で、充実感がある。
何かって言うと・・・言葉が話せなかった子が、名前を呼んでくれた瞬間とか。
トイレトレーニングがずっとうまくできなかった子が、
ちゃんとおまるでおしっこできた瞬間とか。
子どもの喜びなんだけど、一緒に喜べるんだよね。
その瞬間が、すごく嬉しいよね。」
◆引用元:保育者のための実践コミュニケーション研修 ウメハナリレーションズ「“やりがい”が保育士を熱くさせる ~保育の魅力~」
このように、保育士という職業を選択した方々の生の声を聞くと、「子どもの成長」という言葉は大切なキーワードのようです。
「子どもの成長」に関われる、それを感じられる、そこに喜びを感じる。
また、「子どもがかわいい」という感情も、やりがいに繋がっているようですね。
まとめ
保育士は命に関わる仕事でもあることから、その責任は決して軽くはありません。
しかしながら、子どもの成長を間近で見られる。また、それに直接携わることができるという喜びは、なんとも大きい職種であるようです。
少子高齢化が急速に進んでいく現代の日本社会で、子どもたちは大切な、国の未来を担う存在です。
そんな子どもたちを支え、育てたい。
あるいは、出産しても安心して社会で活躍できるようにお母さんたちをサポートしたい。
そうした社会的使命感、社会的意義を感じていらっしゃる方は、一歩踏み出してみませんか。
ウーモアでは、保育士資格の取得を目指せる講座やスクールを多数掲載しています。
資料請求は全て無料です!複数資料請求することもできますので、講座やスクールを比較して自分に合ったものを比較してみるのがオススメです。
参考
『保育園に入りたい!』(藤井省吾、日経BP社、2017年)
『保育士・幼稚園教諭のための保護者支援~保育ソーシャルワークで学ぶ相談支援~』(永野典詞/岸本元気、風鳴社、2016年)
厚生労働省「保育所保育指針」(2017年9月11日,http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/hoiku04/pdf/hoiku04a.pdf)
「見守る保育」公式ホームページ – 藤森平司先生<藤森メソッド>「保育園の行事」(2017年9月11日,http://www.mimamoru.net/14545512087720)
ほいくらいふ「保護者との上手なコミュニケーションの取り方~お迎え・面談編~」(2017年9月11日,https://hoiku-me.com/communication/parent/32026/)
やさしい保育士入門「保育現場の一日の流れ(0歳~1歳児)」(2017年9月11日,https://hoikusi.biz/contents/kisotisiki/hoikugenba/day1_0_1.html)