国家資格のなかでも、試験が難しいことで知られている保育士試験。
2015年より試験が年に2回行われるようになり、チャンスは広がりましたが難易度は変わらないため、しっかり勉強をしておかなければ合格にはたどり着けません。
憧れの保育士を目指すなら、資格取得のための試験概要と合格のコツを押さえておきましょう!
ここでは、筆記試験と実技試験それぞれのポイントと試験前日の過ごし方についてまとめました。
今後の保育士試験の日程は?
保育士試験は、年に2回行われています。
第1回目は春・筆記、夏・実技。
第2回目は秋・筆記、冬・実技といった時期に行われているため、勉強開始時期に合わせて受験するタイミングを考えるようにしましょう。
2017年9月現在、公表されている試験日程は以下の通りです。
平成29年度(2017年度)後期日程
筆記
平成29年10月21日(土)
試験科目:保育の心理学・保育原理・児童家庭福祉・社会福祉
平成29年10月22日(日)
試験科目:教育原理・社会的養護・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論
実技
平成29年12月10日(日)
平成30年度(2018年度)日程
前期
●筆記
平成30年4月21日(土)/22日(日)
●実技
平成30年7月1日(日)
後期
●筆記
平成30年10月20日(土)/21日(日)
●実技
平成30年12月9日(日)
ウーモアでは、保育士試験の最新情報(平成30年度前期版)をこちらにまとめています。
筆記試験の概要と合格のためのコツ
保育士試験の筆記は、8科目9教科と勉強すべき項目が多いのが特徴です。
まずはどんな科目・教科の問題が出題されるのか、それぞれの試験に割り当てられている時間、点数、合格基準を確認しておきましょう。
科目
社会福祉
社会福祉全般に関する法律、理念、実施サービスなどの知識を中心に学ぶ科目です。
児童家庭福祉
児童福祉の意義、概念、法律、制度などを中心に、児童の現状や社会課題なども合わせて学ぶ科目です。
保育の心理学
保育との関係で子供の発達の特徴・過程や学びの過程を理解し、適切な発達援助を学ぶ科目です。
子供の保健
旧科目である「小児保健」と「精神保健」を合わせた科目です。人間の発達段階や特質に基づき、実際の保育場面と関連した知識や小児の健康に影響する事柄を学ぶ科目です。
子どもの食と栄養
子どもの栄養に関する基本的知識を保育の実際に結びつけて学ぶとともに、栄養素の基本的知識を踏まえ、栄養・食生活における教育や指導など、実践的な事柄についても学ぶ科目です。
保育原理
保育の特性、意義、その思想といった概念、実際の保育を展開するにあたり基礎となる、その目安とされる、保育所保育指針を中心に学ぶ科目です。
教育原理及び社会的養護
教育原理は、教育に関する一般知識をもとに、教育の概念、法令、実践の変遷、教育の理論を学ぶ科目です。社会的養護は児童養護の概念・制度・施設における児童養護について学ぶ科目です。
保育実習理論
楽典の知識、絵画制作に関する用語など、保育等に関する知識と保育所保育指針の内容を学ぶ科目です。
試験時間
教育原理・社会的養護:各30分間
その他の7科目:各1時間
科目別の合格率・難易度・対策については、こちらの記事をご覧ください。
保育士試験の科目別合格率・難易度・対策を徹底解説!
点数
教育原理・社会的養護:各50点満点
その他の7科目:各100点満点
合格基準
各科目、6割以上の得点が必要です。
筆記試験合格のコツ
筆記試験は、すべてマークシートで回答する選択方式で、各教科20問(教育原理と社会的福祉はそれぞれ10問ずつの計20問)用意されています。
問題の出題方式は以下の6パターンです。
出題方式のパターン
●適切な回答をひとつ選択する
●不適切な記述となっているものを選択する
●Ⅰ群項目とⅡ群項目の記述を結びつけた正しい組み合わせを選択する
●穴埋め問題の正しい語句の組み合わせ(穴埋め部分は3つ程度)を選択する
●いくつかの設問(3〜4つ程度)に対する正誤を判断し、回答の組み合わせが正しいものを選択する(事例を読んで判断するものもあり)
●年齢や出来事の年代を順番に並べた正しい回答を選択する
設問数はそれほど多くないものの、「正しい組み合わせを選ぶ」出題方式のものが多いため、実際に答えを出していく問題数としては、もっと多くなります。
また、4つほどの設問の回答を組み合わせる問題では、ひとつでも間違っているとその問題を落としてしまうことになるため注意が必要です。
設問を細かく分けて考え、ひとつの問題のなかでも数個の問題を解くつもりで臨み、一つひとつを丁寧に解いていくのが、筆記試験に合格するコツです。
実技試験の概要と合格のためのコツ
実技試験は筆記試験に合格すると受けられる試験で、3分野のなかから2分野を選択します。
実技試験の概要は以下の通りです。
実技試験の概要
選択分野
「音楽」「造形」「言葉」
試験内容
●音楽:各曲1番のみ
「かたつむり」「一年生になったら」などの課題曲2曲を、ピアノ・ギター・アコーディオンのいずれかを使って演奏します。
楽譜の持ち込みは可能です。(前奏・後奏を付けたり、移調したりすることもできる)
●造形:試験時間45分
指定された保育の一場面を、色鉛筆を使って絵に描いて表現します。
(A4サイズの解答用紙内縦横19cmの枠内に描く)
●言葉:制限時間3分
課題作品のなかからひとつを選択し、子ども20人程度を前にしている想定でお話をします。
(お話の編集・展開に関する決まりはなし/絵本などの小道具の持ち込み禁止)
実技試験合格のコツ
音楽は楽器が演奏できる人であればカンタンな曲ばかりで、言葉もお話自体は誰でも知っている有名作品ばかりが指定されています。
また、造形も絵を描くというものなので、「どれもカンタンそう」に思えるのが実技試験の落とし穴です。
音楽は、緊張したなかで演奏するため、楽譜の持ち込みはできるものの、暗譜するほど練習を重ねていないと失敗する可能性が高くなります。
造形は、「絵を描くだけ」と侮っていると、試験時間の45分があっという間に終わってしまい、描き途中で終了してしまうケースもあるようです。
また、言葉でも同様に、緊張からお話の内容を忘れてしまったり、練習をこなしていないと制限時間を超えてしまったりといった失敗につながってしまいます。
実技試験合格のコツは、「カンタンそうだ」と気楽に構えずに、しっかり練習することです。
早めにどの分野で受験するかを選び、少しずつでも練習を重ねていくようにしましょう。
筆記試験の傾向
保育士試験の傾向を把握するために準備するのは、過去問数回分です。3〜5回分あれば近年の傾向が把握できます。科目数が多いため、1科目ずつをそれぞれ比較するのがオススメです。
勉強を始める前は、問題の内容が理解できなかったり答えがわからなかったりしますが、傾向を知りたい段階では、心配する必要はありません。筆記試験は、ざっと目を通したら、解答の選択肢をチェックし、同じような言葉が別の回でも出ていないかを見ていきましょう。
同じ言葉が毎回出ているようなら、その言葉は重要ワードである可能性が高いです。また問題文も似たようなものがあるなら、「出題されやすい問題」ということになります。最新の過去問に、それまで出ていなかったような問題があれば「新しく注目され始めた事柄」である可能性があるため要チェックポイントとしてピックアップしておきましょう。
こうして「選択肢にある言葉」「問題」に注目して、一覧にしていくとその科目の傾向をつかむことができます。自分なりの傾向を把握したら、勉強するときに重要項目としてチェックする対策を立てられるので、じっくり見ていくようにしましょう。
実技試験の傾向
実技試験は、傾向というよりも試験のスタイルがほぼ統一されているため、まずはどんな出題がされているのかを確認するのが先決です。音楽や言葉は、募集時点でその年の「課題」も発表されているため対策も立てやすくなっています。
実技試験の傾向や合格のコツはこちらの記事で詳しくご紹介しているので、気になった方はチェックしてみてください。
知っておきたい保育士試験のポイント
保育士試験の傾向と対策が見えてきたら、次に押さえておくべきなのが「試験のポイント」です。ここでは、「合格」のためのポイントを2つご紹介します。
「一発合格」か、「長期計画」か、事前に決めておく
保育士試験は、幼稚園教諭などとして働く方やすでに何科目かは専門学校や大学で学び単位を取得した方で免除科目がある場合以外は、筆記試験で8科目9教科、実技試験は3科目中2科目選択と、科目数の多い試験となっています。また、合格率2割の難関資格です。
そのため、一発合格のためには、十分な時間をかけてしっかりと勉強しなければならず、数回にわけて試験に合格していく長期計画を立てるケースも見られます。いきなり「一発合格」を目指して、すべての勉強が中途半端になってしまって結局何年もかけてしまったり、「長期計画」にしていたためにモチベーションが保てなくなって、途中で諦めてしまったりといったパターンもあるようです。
そこで、事前に自分自身の生活や性格に合わせて「一発合格」なのか「長期計画」なのかを決めておくことが大切です。「いつまでに合格したいのか」という目標を明確にして、「そのために残されている時間はどのくらいなのか」を考え、「一発合格」と「長期計画」のどちらを選択するのか決めるようにしましょう。
一発合格を目指すのは、至難の技ではありますが「絶対に無理」なわけではありません。
筆記試験の結果を待っていると実技対策が遅れてしまう?
実は、筆記試験に合格していて実技試験を受けられるとしても、送られてくる結果を待っていると実技対策への着手が遅れてしまいます。筆記試験と実技試験は約2ヶ月空けられていますが、筆記試験の結果は試験日から1ヶ月以上経ってから送られてくるため、律儀に結果を待っていると実技試験の準備ができるのは1ヶ月未満となってしまいます。
しかし、筆記試験に受かっていなければせっかく対策をしていても実技試験を受けることができません。そこでポイントとなるのが「自己採点」です。筆記試験直後から、スクールなどで公開される解答速報を元に、自己採点を行い筆記試験の結果をあらかじめ把握しておくことで次の一手に出ることができます。
解答速報による自己採点は「絶対」ではありません。多少の不安が残るものの、「ほぼ合格しているだろう」と思えるか「この科目がダメだったから、もう一度筆記試験の勉強を始めよう」とできるかによって、次へのステップが変わってくるのです。
筆記試験後の動き方は、保育士試験の合格を目指すときの大きなポイントとなります。
試験直前の対策
試験前日にやるべきこととやってはいけないこと
保育士試験以外にも、“試験”を受ける前日には、やっておきたいことと、やってはいけないことがあります。
それぞれチェックして、翌日の試験に備えましょう!
夜更かしをせずに早めに寝る
前日は、興奮と不安でなかなか寝付けないかもしれませんが、早めに寝るのがオススメです。
試験は緊張もあり、疲れやすいものです。何時間も試験を受けることになるため、途中で眠気に襲われないよう、睡眠はしっかり取っておきましょう。
寝るのが早すぎるのは✕
夜更かしをせずに早めに寝るのがいいからといって、「17時には寝よう」など、早すぎる時間に寝てしまうと睡眠サイクルが乱れてしまい、日中のいつもなら眠くならない時間に眠たくなってしまう可能性があります。
いつもと同じくらいか、いつも遅い時間に寝ているのであれば少し早めに寝て、スッキリと目覚められるのが理想です。
焦ってあれこれ勉強するのではなく復習をする
前日は、焦ってあれこれ手をつけたくなるものですが、これまでの復習をする程度に抑えておきましょう。
とくに前日にいきなり新しい問題集や総復習のつもりでやったことのない過去問に手をつけるのは危険です。
「これも解けない」「こっちも間違えた」と不安が増幅してしまう可能性があります。
前日は、何度も繰り返し勉強してきた教材を使って、おさらいするのがコツです。
食べ慣れないものを食べるのはNG
試験前日は、当日の体調を万全に整えるための準備日として捉え、普段食べ慣れないものを食べるのは避けるのが無難です。
いつもと変わらないものを、寝る2時間以上前に食べて翌日に備えるようにしましょう。
まとめ
保育士試験は、難関試験のひとつとされ、合格率は毎回2割程度とかなり低くなっています。
保育士を目指すときには、まず試験日をチェックし、その日に向かって計画を立て、自分に最適な学習方法で勉強を進めていき、試験合格を目指しましょう。
保育士資格を取得できる通信・通学の資格講座を多数掲載中です。
無料で資料請求が可能です。保育士資格の取得をお考えの方は、チェックしてみてくださいね。
▼ 保育士試験の全体像についてはこちら ▼
参考サイト
一般社団法人全国保育士養成協議会「試験関連のお知らせ一覧」(2017年9月14日,http://www.hoyokyo.or.jp/exam/news_archive/)
また、詳しい試験時間や科目などの情報はこちらで確認できます。
一般社団法人全国保育士養成協議会「受験申請の手引き」(2017年9月14日,http://www.hoyokyo.or.jp/exam/guidance/index.html)
平成29年度保育士試験「受験申請の手引き [後期用]」(2017年9月14日, http://www.hoyokyo.or.jp/h29_guidance_2.pdf)
一般社団法人全国保育士養成協議会「平成29年筆記試験(前期)問題・正答」(2017年9月14日, https://hoyokyo.or.jp/exam/pasttest/30.html)