企業や組織で活躍!EAPメンタルヘルスカウンセラーを徹底解剖

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うつ病などのメンタルヘルスの不調による休職、退職・・・。
そんな場面を身近で見聞きしたことはありませんか?

厚生労働省が平成29年6月30日に発表した平成28年度の「過労死等の労災補償状況」によれば、「精神障害に関する事案の労災補償状況」のうち、498件が「精神障害」による労災として認められました。
これは、過去5年間のデータのなかでも最多の件数です。

職場におけるメンタルヘルスの問題は、もはや無視できない社会問題ではないでしょうか。

この記事では、労働者のメンタルヘルスを健全に保ったり、メンタル不調を回復させたりするなど、メンタルヘルスの専門知識を身につけ、サポートする心理カウンセリング資格“EAPメンタルヘルスカウンセラー”をご紹介します。

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EAPメンタルヘルスカウンセラーとは?

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EAPは、1984年にアメリカで誕生しました。
Employee Assistance Programの略称で、「従業員支援プログラム」を意味します。

あの世界最大とも呼ばれるスーパーマーケットチェーン、ウォルマート社も導入しており、EAPサービスを提供しているアメリカの企業は12,000社を超えています。

日本におけるEAPメンタルヘルスカウンセラーの認定元は、EMCA(EAPメンタルヘルスカウンセリング協会)です。

EMCAは、メンタルヘルス分野の総合資格としてのEAPメンタルヘルスカウンセラーを公式認定した、日本ではじめての協会です。

ちなみに、EAPメンタルヘルスカウンセラーはeMC®資格ともいいます。
資格が誕生したのは平成25年。日本における歴史はまだ浅い資格といえるでしょう。

EAPメンタルヘルスカウンセラーを取得するとどんなスキルが身につく?

EAPメンタルヘルスカウンセラーを取得すると、主に以下のようなスキルを身につけることができるといわれています。

仕事のパフォーマンスが低下している人のカウンセリングをすることで生産性を向上させる

メンタル不調者の意見を代弁する

メンタル不調者を抱える上司やその同僚にもカウンセリングを行う

メンタル不調者が所属する組織に具体的なアドバイスや提案をする

メンタル不調の予防と早期発見を行う

こころの病が原因で休職している人の復職支援

ストレス軽減、解消のためのセルフケア支援

組織・人事に対するEAP導入の提案、コンサルテーションを行う

千葉科学大学危機管理学部の教授・木村栄宏氏は、『経営戦略としてのEAP(従業員支援プログラム)』という論文のなかで、EAPの役割や意義についてこう語っています。

EAPとは(略)メンタル 的なカウンセリングとキャリアカウンセリングの両 方の意義を持つ。つまり、企業の重要な構成要素である「従業員」という資源・要素を、メンタル面及びキャリア開発面双方に結びつく援助活動として、 会社全体の生産性向上に寄与させるものである。
◆引用元:日本国際情報学会「経営戦略としてのEAP(従業員支援プログラム) 」

EAPのスキルを身につけると、メンタル不調者だけではなく、その人と関わりのある労働者や人事部ひいては企業・組織に対して、メンタル面とキャリア面のふたつの観点から専門的なサポートできるようになると考えられます。

学んだスキルや知識は、セルフメンタルケアに活かすこともできそうです。

EAPメンタルヘルスケアカウンセラーの役割

EMCAは、EAPメンタルヘルスカウンセラーを育成し資格を活かして活躍することに関して以下の方針を公式HPで発表しています。

一、eMC(EAPメンタルヘルスカウンセラー)の養成を通して、質の高いメンタルヘルスケア・セーフティネットを全国に構築する

二、eMC(EAPメンタルヘルスカウンセラー)が活躍する場は、単に企業に止まらず、地域社会・学校・家庭等を幅広く網羅することを目標とする

三、EAPならびにメンタルヘルスケアに精通した心理カウンセラーとして、実際に企業をはじめとした各種の現場で活躍できる実践的なスキルとその基盤となる高度な専門知識を併せ持つ人材を育成する
◆引用元:EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「方針・活動・沿革|協会のご案内」

EAPメンタルヘルスケアカウンセラーが求められている役割や現場は、企業だけにとどまらないことが分かりますね。

メンタルに不調を抱えている人のバックアップはもちろんのこと、企業ないしは組織、地域、ひいては社会がメンタルヘルスケアによってよりよい発展を遂げることに意義があるようです。

EAPメンタルヘルスカウンセラーを取得するには?

取得するには
資格取得の流れは以下のステップに分けられます。
資格取得の流れ

参考:EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「eMC資格取得の流れ」

リカレントメンタルヘルススクールで受講する

まずは、EMCAが指定しているEAP専門の養成校に入学し、講座を修了する必要があります。
指定校は、平成29年現在リカレントメンタルヘルススクール(以降リカレントと表記)のみ。

リカレントは、日本初のEAP教育を専門としたスクールです。

「リカレントがこだわっているのは、初心者をEAPのプロに育成すること」。
初心者、業界未経験者が学びやすいように大学の心理学科や大学院の専攻レベルの授業内容を段階的に、かつコンパクトにしたカリキュラムを多くのコースに設けています。
コースによっては合格保証制度もあります。

講師は、現役で活躍するEAPのプロ。
授業の形式も「少人数クラス担当制」のため、講師ときめ細かいコミュニケーションを取れたり、相談しやすかったりする環境が魅力ですね。

実践の場を踏む目的でインターンシップ制度が設けられているなど、卒業後の就職サポートも充実しているようです。

認定試験を受けてEMCAに入会する

リカレントでひととおりEAPについて学び、講座修了証を取得したら、EMCAが実施しているEAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC®)資格認定試験の受験が必要です。

受験申請書類やカリキュラムの修了証をEMCAに提出し、受理されるといよいよ試験です(試験の詳細については後述します)。

EAPメンタルヘルスカウンセラーは、EMCAに入会することで資格を取得したことが証明されます。

入会にあたっては、EMCAが指定する以下の専門指定資格要件のうちどれかひとつを満たさなければならないため注意しましょう。

情報は平成29年10月1日現在のものです。

(1)検定試験合格等
1.メンタルヘルス・マネジメント®検定Ⅱ種またはⅠ種合格
2.第一種または第二種衛生管理者(国家資格)
3.キャリアコンサルタント(国家資格)
※メンタルヘルス・マネジメント®検定は大阪商工会議所の登録商標です。
(2)検定資格合格
1.医師
2.臨床心理士
3.保健師
4.看護師
5.精神保健福祉士
6.2級または1級キャリアコンサルティング技能士(国家検定)
7.またはEMCA®がこれらと同等以上と認める資格保持者
(3)検定資格合格+実務経験2年以上
1.産業カウンセラー
2.シニア産業カウンセラー
3.心理相談員
4.旧標準レベルキャリア・コンサルタント(CDA資格など)
5.認定心理士
6.またはEMCA®がこれらと同等以上と認める資格保持者
(4)実務経験5年以上
1.企業等における産業保健(メンタルヘルス分野)の実務経験
◆引用元: EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「試験概要 | eMC資格認定試験」

その後、EMCAによる審査を経て資格認定証が交付されます。

ちなみに、認定証の有効期限は5年間です。5年ごとに更新が必要なことを覚えておきましょう。

EAPメンタルヘルスカウンセラーの試験概要

試験概要
EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC®)資格認定試験は、年に2回実施されています。
試験区分は、1次(学科)試験2次(実技)試験です。

平成30年度に開催される第11回目から、認定試験の内容が一部変更されます。

主な変更点は以下の2点です。

これまで1次(学科)試験の出題形式だった筆記試験と論述試験のうち、第11回目の認定試験からは論述試験だけが2次(実技)試験に含まれる。

受験料の変更。第11回目の認定試験からは1次(学科)試験が10,800円、2次(実技)試験が27,000円になる。

ちなみに・・・
ウーモア編集部から協会に問い合わせたところ、リカレントで「EAPメンタルヘルスカウンセラー養成コース」を修了した受講生は、第11回目の認定試験から第16回目の認定試験まで1次(学科)試験が免除になるとのことです。

平成29年度 第10回目までの認定試験詳細

第10回目 試験概要
□ 受験資格:下記の(1)・(2)を満たす方
(1)21歳以上の方(出願日現在) 学歴・性別・国籍・職業人経験不問
(2)eMC®カリキュラム修了者 コース修了3年以内
□ 受験料:
1次(学科)試験 16,200円(税込)
2次(実技)試験 21,600円(税込)
□ 試験日:
1次(学科)試験 6月・12月
2次(実技)試験 それぞれ翌月~翌々月に実施

なお、試験の内容については以下のとおりです。

試験区分 出題形式 試験時間 問題数 合格基準
1次(学科)試験 筆記試験 90分 50問 100点満点で60点以上
論述試験 60分 1問 100点満点で60点以上
2次(実技)試験 面接試験(ロールプレイ、口頭試問) 30分(ロールプレイ20分、口頭試問10分) 1ケース 100点満点で60点以上

平成30年度 第11回目からの認定試験詳細

第10回目 試験概要
□ 受験資格:下記の(1)・(2)を満たす方
(1)21歳以上の方(出願日現在) 学歴・性別・国籍・職業人経験不問
(2)eMC®カリキュラム修了者 コース修了3年以内
□ 受験料:
1次(学科)試験 10,800円(税込)
2次(実技)試験 27,000円(税込)
□ 試験日:
1次(学科)試験 6月・12月
2次(実技)試験 
論述 6月・12月
面接 9月・2月予定

試験の内容については、以下をご参照ください。

第11回目の認定試験に関しては、問題数はまだ公表されておりません(平成29年12月現在)。
試験区分 出題形式 試験時間 合格基準
1次(学科)試験 筆記試験 90分 100点満点で60点以上
2次(実技)試験 論述試験 50分 150点満点で90点以上。ただし論述試験・面接試験ともに満点の40%異常の得点が必要
面接試験 20分(ロールプレイ15分、口頭試問5分) 上に同じ

EAPメンタルヘルスカウンセラーはこんなふうに活かせる

活かし方
EAPメンタルヘルスカウンセラーは、以下のような形で活かすことができます。

EAPサービスを提供する企業に就職する

EAP関連企業の立ち上げ

企業の人事・総務でEAPの導入を提案

企業内部EAPメンタルヘルスカウンセラーとして働く

EAPに関する研修を開催し、講師として登壇

行政、自治体などの健康相談センターで復職支援サービスに携わる

学生の就職支援をするキャリアアドバイザーになる

メンタルヘルス不調者が気軽に相談できる電話相談サービスや訪問サービスの開設

EAPは「職場のメンタルヘルス対策の切り札」へ

EAPメンタルヘルスカウンセラーが日本にも誕生したことについて、EMCAの理事長である松田直之氏は以下のように語っています。

我が国の産業・労働分野におけるメンタルヘルスの不調が問題視され、かつ深刻化しており、労働者のメンタルヘルス対策、及び改善は企業においても重要な課題となっております。
このような社会的状況を取り巻く課題を踏まえ、従業員支援プログラム(EAP)に対応できる高度な知識と実践力を兼ね備えた人材を企業・事業所等に輩出することが課題の改善に大きく寄与するものと考え、2013年8月に発足し、11月には特定非営利活動法人となりました。◆引用元: EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「EAPメンタルヘルスカウンセリング協会 理事長よりご挨拶」

平成28年度の厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」における「労働者調査」によれば、「現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスとなっていると感じる事柄」を抱えている労働者の割合は、59.5%です。

「ストレスを相談できる人がいる」労働者の割合は91.9%と高い数値を出していますが、そのなかにカウンセラーが含まれていたのは3.0%。

また、「実際に相談した相手」の統計を見ると、相談した割合自体は85.0%とそれなりにあるものの、カウンセラーに相談した人はたったの1.3%しかいませんでした。

このようなデータを見ると、「強いストレス」を抱えている人たちが実際に6割近くも存在しているにもかかわらず、それを解決するために専門家に頼りに行く人はかなり少ないことがわかります。

労働上で「強いストレス」を抱えている労働者がメンタルヘルスを健全に保てるように、改善・回復できるようにサポートするEAPメンタルヘルスカウンセラーの需要は、今後高まっていくのではないでしょうか。

リカレントでEAPを学び、卒業後にIT企業の人事部へ就職しEAPのスキルを活かしている鈴木貴美子氏は、EAPメンタルヘルスカウンセラーの役割の拡大について自身の体験を交えながら語っています。

結婚を機に退職したのですが、高校時代に人間関係で悩んだり、サービス残業や休日出勤、ノルマなどの過酷な労働環境で苦労した経験から、自分の体験を活かし、人の悩みを手助けする仕事に就きたいと思ってました。(略)
卒業後は、IT企業の人事部へ就職。社員を対象にメンタルヘルスに関するセミナーを定期的に開催するなど、EAPの普及に取り組んでいます。EAPを仕事にしたことで、現代社会におけるEAPの役割はますます大きくなると実感しています。
◆引用元: リカレント メンタルヘルススクール「卒業生の声」

鈴木氏の職業が具体例であるように、社内にEAPメンタルヘルスカウンセラーを直接配置する企業も台頭しているなど、EAPは「職場のメンタルヘルス対策の切り札」として扱われ始めているようですね。

EAPメンタルヘルスカウンセラーを企業に導入するメリット

EAPを導入するメリットは、「従業員の生産性向上」にあるといわれています。

メンタル不調は生産性、パフォーマンスの低下と悪化につながるとされており、その影響が同僚や上司にも伝わると、大きな視点で見れば本人だけではなく会社にも大きな損失を与えることになりかねません。

EMCAの発表によれば、外資系を中心にEAPを導入する企業は日本でもゆるやかに増加しつつあるようです(平成29年12月現在)。
実際にEAPを導入した企業では従業員による事故、ミス、欠勤などが減った例も報告されています。

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まとめ

mental health
平成27年12月から「ストレスチェック制度」が開始されたこともあり、メンタルヘルスに対する関心は社会的に高まっていることが分かりますね。

メンタルヘルスに関する課題は、今後も注目されていくことでしょう。

ひとりでも多くの労働者が気持ちよく、いきいきと働き続けるために、今後の労働環境や問題の動向を見守っていきたいものですね。


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参考サイト

厚生労働省「170623【公表資料】H28別添資料 (一式)
」(2017年12月12日,http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11402000-Roudoukijunkyokuroudouhoshoubu-Hoshouka/28_seishin.pdf)
厚生労働省「平成28年度「過労死等の労災補償状況」を公表」(2017年12月12日,http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000168672.html)
厚生労働省「ストレスチェック導入マニュアル」(2017年12月7日,http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf)
厚生労働省「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」(2017年12月7日,http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/)
厚生労働省「平成28年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況『労働者調査』」(2017年12月8日,http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/h28-46-50_kekka-gaiyo02.pdf)
EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「EAPメンタルヘルスカウンセラー| eMC資格認定試験」(2017年12月7日,http://www.emca.or.jp/qualification/emc/)
EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「eMC資格取得の流れ|eMC資格認定試験」(2017年12月7日,http://www.emca.or.jp/qualification/procedure/)
EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「試験概要|eMC資格認定試験」(2017年12月7日,http://www.emca.or.jp/qualification/summary/)
EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「第11回eMC®資格認定試験について | eMC資格試験」(2017年12月7日,http://www.emca.or.jp/info/20171121/)
EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「企業のみなさまへ」(2017年12月8日,http://www.emca.or.jp/enterprise/)
EAPメンタルヘルスカウンセリング協会「方針・活動・沿革|協会のご案内」(2017年12月8日,http://www.emca.or.jp/about/policy/)
リカレント メンタルヘルススクール「EAPカウンセラー・コンサルタントとは」(2017年12月8日,https://www.recurrent.co.jp/eap/about_counselor.html)
リカレント メンタルヘルススクール「スクールの特徴」(2017年12月7日,https://www.recurrent.co.jp/eap/school_features.html)
リカレント メンタルヘルススクール「未経験から資格取得」(2017年12月7日,https://www.recurrent.co.jp/eap/qualification.html)
リカレント メンタルヘルススクール「卒業後の活躍の場」(2017年12月8日,https://www.recurrent.co.jp/eap/career.html)
リカレント メンタルヘルススクール「卒業生からのメッセージ」(2017年12月8日,https://www.recurrent.co.jp/eap/student.html)

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