調理師の資格を取得するには、どのような方法があるのでしょうか。
試験はあるのかな?
資格を活かして働ける場所は?
このように、いろいろと気になることはあるかもしれませんね。
料理が好きで、将来は料理のプロになりたい。
病院、保育園、介護施設、学校などの施設で利用者の健康を「食」から作るお手伝いをしたいと思っている方。
そんな方々に向けて、この記事では、
・調理師の資格を取る方法
・調理師国家試験の概要
・仕事内容
など、調理師の資格全般に関することをご紹介します。
目次
調理師資格を取るには?

調理師の資格を取得するには、ふたつの方法があります。
調理師の養成施設を卒業する
各都道府県が実施する国家試験に合格する
資格取得のルートをわかりやすく図にしてみました。

調理師の養成施設を卒業する
専門学校・高校・短大の3種類が、調理師の主な養成施設です。
どの養成施設を選ぶにせよ、厚生労働大臣が指定した学校に入学する必要があります。
一人前の調理師になるにあたって必要な料理の技術を習得したり、座学で以下のことを学びます。
・栄養学
・食品学
・衛生法規
調理師の養成施設では和食・洋食・中華・製菓・パンなど、さまざまなジャンルの料理を幅広く学び、それらを作る技術を学習していきます。
ワイン、テーブルサービス、飲食店の経営知識を勉強したり、高級ホテル・レストランでの実習を経験できたりする学校もあるようです。
調理師の養成施設で一番多いのは、専門学校です。
専門学校の通学期間は通常、1年から2年。
専門学校には、製菓専門や中華料理専門など、特定の調理を学べるところもあります。
そのような学校に入学する場合は、「自分は本当にこの分野を突きつめたいのか?」、よく考えて決断しましょう。
養成施設に通った場合、所定の課程を修了し、卒業すると同時に調理師の資格を取得できます。
国家試験を受ける必要はありません。
各都道府県が実施する国家試験に合格する
国家試験を受験する人のなかには、独学で勉強する人もいれば通信講座を使って試験に備える人もいます。
独学の場合は、参考書を用いたり、過去問題集を解いたりする勉強方法が考えられます。
有名な通信講座としては、「生涯学習のユーキャン」が提供する調理師講座があげられるでしょう。
ほかには、日本調理師協会の「調理師受験通信講座」などの通信講座もあります。
独学で勉強する方がよいか。
それとも通信講座を使って勉強するほうがよいのかは、自分のライフスタイルや性格、仕事との兼ね合いを考えたうえで選びましょう。
免許の申請方法
試験に合格したあとは、自分が住んでいる都道府県知事に書類を提出し、免許を申請します。
申請時に必要な書類は、以下のとおりです。
- 調理師免許申請時に必要なもの
-
□ 合格通知書
□ 医師の診断書(麻薬、あへん、大麻、覚せい剤の中毒者でないことを確認するために提出します)
□ 本籍登録された住民票のコピーあるいは戸籍抄(謄)本
□ 印鑑
申請が受理されれば、資格の取得は完了です。
受験資格、試験内容など、調理師試験に関するくわしい情報は、次の章で説明します。
調理師試験の概要

調理師試験の受験資格
調理師試験を受験するには、「実務経験」と中卒以上の学歴が必要です。
中卒以上の学歴
中学校卒業程度と同等の学力があることが求められます。
中卒以外の学歴で受験資格を得るには、外国人学校、高等専修学校などの学校で、中卒以上か、それと同程度の学力を持っていることを厚生労働大臣に認定してもらう必要があります。
実務経験
以下の4つの施設で、2年以上の調理業務を経験した人が対象です。
①飲食店(旅館や簡易宿泊所も含みます)
②魚介類販売業
店舗で魚介類を販売する営業形態のことを指します。生きた魚介類の販売業や、せり売営業は除外されます。
③惣菜製造業
煮物、焼き物、揚げ物、蒸し物、酢の物などを製造する営業です。
④学校・病院・寮といった給食施設
1日20食以上、1日50回食以上の調理と提供を継続していることが条件です。
ちなみに、2年以上の実務経験を満たすには、ひとつの職場にずっと勤める必要はありません。
過去に別の職場で働いていた年数も「実務経験」としてカウントされます。
例として、過去に別の飲食店で半年間働いていた場合は、現在勤めているお店で1年半以上経験を積めば大丈夫です。
ただしその場合、過去に働いていた職場ごとの「実務経験証明書」が必要です。
必ず発行してもらうようにしましょう。
試験日、申し込み方法、受験費用、受験地
試験日
都道府県によって異なります。
ただ、例年6月から11月にかけて実施される傾向があります。
試験の実施回数は、年に1回です。
神奈川県だけは、年に2回実施しています。
かけもち受験もできますので、たとえば埼玉県で一度受験したあと、神奈川県で再度受験することも可能です。
申し込み方法
以下の書類と受験費用を、セットで提出しましょう。
①受験願書(写真つき)
②調理業務従事証明書
③卒業証明書
受験費用
各都道府県によって異なります。
受験地
各都道府県によって異なります。
試験内容
書類審査後、以下の6科目が筆記試験として出題されます。
試験はすべて、四肢択一式のマークシート形式です。
- 調理師試験 試験科目
-
□ 食文化概論
□ 公衆衛生学
□ 栄養学
□ 食品学
□ 食品衛生学
□ 調理理論
合格基準は、全科目で合計6割以上の得点を得ることです。
しかし、1科目でも平均点を大きく下回ってしまった場合は不合格になるケースも。
都道府県によって出題される問題の内容が異なるのも特徴です。
調理師の仕事内容

調理師が活躍できるフィールドは、レストラン、ホテル、式場といった場所から、居酒屋、カフェなどの外食チェーン店にまで至ります。
ほかにも、病院、保育園、介護施設、学校、社員食堂などの場所で「集団調理」を行う調理師もいます。
自分でお店を開業する調理師もいれば、食品会社に就職し、メニュー開発を行う調理師もいるようです。
さまざまな働き方が可能な調理師ですが、職場によって求められるスキルや経験は全く異なるのが実情です。
たとえば、有名なイタリアンレストランの料理長になりたい場合は、その「道」を極める修行を重ねる必要があります。
繊細な盛り付けや食器選びなどの美的センスが求められたり、スープやソースのダシの作り方を学んだり、そういった経験を重ねてやっと、一人前の調理師として認められる職場もあります。
いわば「職人」的なレベルの域に達することで、キャリアアップをはかれる職場もあるのです。
ただし、そのようなスキルが必要とされない職場もあります。
あらかじめ決まったレシピをもとに調理をする「集団調理」の場の方が、自分の性に合っている人もいます。
保育園で子どもたちに配給をして、子どもの体作りをサポートすることに喜びを感じる調理師もいるでしょう。
だからこそ、調理師の資格を取る前は、
「自分はどういう方向に資格を活かしたいのか?」
「どんな調理師になりたいのか?」
「どのようなキャリアプランを設計したいのか?」
といった将来像を見据えておくことが大切だといえます。
調理師資格を持っているとどんなメリットがある?
資格が重宝される職場もある
調理師の資格を持っていることが重宝される職場もあります。
食品衛生や食中毒に関する知識や、注意力、衛生感覚など、調理師の資格を取るときに勉強したことが求められるケースもあるからです。
そのため、採用条件に「調理師免許取得者」が掲げられている求人もあります。
資格手当てがあったり、調理未経験者よりもお給料が高く設定されたりしている求人もあります。
そのような求人に応募する際は、資格を持っていることが大きなアピールポイントになるでしょう。
飲食店を開業するときに必要な「食品衛生管理者」の受験が免除される!
飲食店を開業するとき、必須となる資格があります。
「食品衛生責任者」という資格です。
調理師の資格を持っていれば、「食品衛生責任者」の試験を受験する必要はありません。
申請のみで「食品衛生管理者」を取得できるのです。
将来飲食店を開業したい方にとっては、このことはメリットのひとつといえるでしょう。
ほかにも、調理師の資格を持っているだけで試験科目が免除されたり、受験資格に当てはまったりする資格もあります。
以下が、そのような資格の一覧です。
- 調理師資格を応用できる他資格
-
□ 専門調理師:受験資格が得られる。学科試験が免除になる
※実務経験年数・調理師資格の取得年数が問われます
□ 調理技能士:受験資格が得られる。学科試験が免除になる
※実務経験年数・技術考査の合格者・調理師資格の取得年数が問われます
□ ふぐ調理師:受験資格が得られる
※ふぐの取り扱い経験年数が問われます
□ フードコーディネーター3級:学科試験が2科目免除になる(「文化」・「科学」が免除)
□ 船舶料理士:申請するだけで取得できる
※20歳以上であること、三ヶ月以上の船舶での調理経験が必要です
調理師の資格を活かしてほかの資格も取ることにより、キャリアアップの足がかりになったり、選べる職場や職種の幅も広がったりすることもありえます。
まとめ

調理師資格を取る方法、試験の概要、そして仕事内容をご紹介しました。
学生・社会人に関わらず、実務経験を積んで勉強すれば取得できるチャンスがあるのが、調理師資格のよい点です。
将来レストランや食堂を開いてみたい方などは、開業の際に必要な「食品衛生管理者」の受験が免除されるというメリットもあります。
料理のプロになりたい方や、料理に関する仕事に就きたい方は、ぜひこの機会に資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
以下の記事では、「食」に関する国家資格の情報をまとめました。
調理師や管理栄養士といった国家資格を取得するメリットなどを知りたい方は、参考にしてみてください。
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参考
『外食業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(2013年,秀和システム,福井晋/中村恵二/鞍貫明子)
『2019年版資格取り方選び方全ガイド』(2019年,高橋書店,高橋書店編集部)
スタディサプリ 進路「調理師の学校の選び方」(2018年3月20日,https://shingakunet.com/bunnya/w0036/x0481/erabikata/)
スタディサプリ 進路「調理師の就職先・活躍できる場所は?」(2018年3月20日,https://shingakunet.com/bunnya/w0036/x0481/hatarakubasyo/)
東京都福祉保健局「調理師の資格を取得するには」(2018年3月20日,http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/shikaku/csh_menkyo/chori_seika/chourishi/shikaku.html)
公益社団法人調理技術技能センター「調理技術技能評価試験の概要」(2018年3月20日,http://www.chouri-ggc.or.jp/02_shiken.htm)
公益社団法人調理技術技能センター「調理技術技能評価試験【学科試験】」(2018年3月20日,http://www.chouri-ggc.or.jp/04_gakka.htm)
ユーキャンの調理師講座「調理師とは」(2018年3月20日,http://www.u-can.co.jp/調理師/about/)
ユーキャンの調理師講座「資格・検定試験ガイド」(2018年3月20日,http://www.u-can.co.jp/調理師/exam/)
調理師専門学校 – 服部学園「調理師科(昼1年)の目指せる資格」(2018年3月20日,http://www.hattori.ac.jp/cuisine/cuisine2/qualification/)
日本調理師協会「通信教育」(2018年3月20日,http://chorishi.net/correspondence/)
東京都福祉保健局「東京都ふぐ調理師試験についてQ&A」(2018年3月20日,http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/shikaku/csh_menkyo/hugu/siken_qa.html)
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調理師学校ガイド@web(2018年3月20日,http://www.jatcc.or.jp/guide/)