「美味しい」の一言を聞くことが、私の生きる道。人との繋がりに感謝する「料理家」が、夢を叶えるまで

「小学校高学年のころ、めったに私を褒めなかった兄に、料理を『美味しい』って褒めてもらったんです。それが、私が料理を作る喜び、料理家として生きることの原体験だったように思います」

下町情緒あふれる人形町にたたずむ、お料理教室「人形町キッチン」

雑誌などのメディアでも活躍中の「料理家」・風間章子さんが、編集部を気さくに出迎えてくれました。

足を踏み入れると、まるで親戚のお家に来たような雰囲気の「人形町キッチン」。

「お母さんが台所で料理を作っていた姿」を思い出す、そんなノスタルジックな空気が漂う教室で、風間さんのこれまでの人生や料理への思いを伺いました。

風間章子さん

料理家・風間章子。1974年生まれ。料理教室、料理撮影を提供する「人形町キッチン」を運営。『からだにいいこと』、『ar』などの雑誌でレシピ提供や調理製作も多数担当。飲食店の立ち上げにも関わった経験をもつ。

「お料理の先生になりたい」―常に胸の中にあった夢は、消えることはなく

風間さんがフリーの「料理家」としてデビューしたのはいつごろですか?

風間:
30歳のときです。もともと、私は家庭科の先生になりたかった。
それで家政学を学べる短大に行ったんですが、そのうち「お料理の先生になりたい」と思って。

バイト先のイタリアンレストランで「料理学校に行きたいんです」って相談したら、「料理は現場で覚えた方がいい」って言われたんです。

納得したと同時に、好きなことをしながらお金も稼げるなんて最高じゃんって思って、18歳から25歳までレストランで働いてました。
プロとして料理を作ることの技術や知識は、そこでたくさん吸収できましたね。

―まさに百聞は一見にしかず、ですね。25歳でお店を辞めた後は……?

風間:
「お料理の先生になりたい」っていう思いは消えなかったので、アシスタントとしてお料理教室で働き始めました。

そこでね、ちょっと壁にぶつかったんです。
それまで私はずっとプロの料理人として、お客様に提供する料理を作ってきたんですが、それと料理人になりたいわけじゃない人に「料理を教える」ことは、全く意味が違ったんですよ。

「どうやったら伝わるのかな?」ってすごく悩みました。
体で覚えたプロの技術を、プロじゃない人でも分かるように噛み砕いて、言葉にして、伝える。
その難しさを痛感しましたね。

その後は、ビール会社の醸造研究所で派遣社員として働いたり、カフェバーの立ち上げに関わって、そのお店で1年ぐらいキッチンを担当しましたね。

でも、やっぱり「お料理の先生」っていう夢は消えてなかった。フリーで仕事したい!って思ってました。

念願のフリーに!しかし仕事はなかなか安定せず……

どのようにしてフリーランスになったんですか?

風間:
私が立ち上げに関わったお店でフリーのカメラマンの子と知り合って、その子にフリーになる方法を聞いたら「名刺とホームページ作ればなれるよ」って言われて。

「あ、そうかそれでいいんだ」と、すぐに自分で名刺とホームページを作りました。

―自力で!すごいですね。駆け出しのころはどんな仕事を?

風間:
最初は本当に仕事がなかったですよ(笑)。イベントケータリングが多かった。

当時、ミクシィが全盛期で、そこで知り合いを増やして、知り合い経由でケータリングの仕事を頂いてました。
フリーになってから半年後に、ミクシィで知り合った人が雑誌の仕事をくれたんです。

―え~!最近はSNSが仕事を生むことも多いですが、その走りですね。

風間:
そうかも(笑)。レシピ提案や調理製作、盛りつけを担当しました。
メディアの仕事は、夫がWeb関係の仕事をしてるので、制作会社の方を紹介してもらうこともありました。
現場で一緒になった方から声をかけて頂いたり。

あとは、近所のカフェを手伝ったりとか……人との繋がりを通じてお仕事を頂くことが多かったですね。

人との繋がり

お料理教室、「人形町キッチン」をスタート。ついに夢が叶った!

でもやっぱり、「お料理の先生」という夢はあったんですよね?

風間:
うん。35歳のとき、近所のカフェで働いてる友達が「料理教室やろうよ」って声をかけてくれて。
そのカフェの横にあったオフィスを借りて、月に1回の料理教室を始めました。

―念願の!

風間:
そう。でも、すぐに生徒さんが集まるわけじゃないって分かってたので、あえて固定の場所を設けず、色んな場所でやってました。
そのあと、39歳のときに人形町で「人形町キッチン」をスタートして、ようやく自分のお料理教室を持てました。

―「お料理の先生」になることがついに叶った瞬間ですね。

風間:
そうね。当初は、以前のお料理教室に通ってた生徒さんがたくさん来てくれました。

宣伝に関しては、知り合いだった地元の新聞社の方に教室を紹介してもらったり、カフェ友達のお店にチラシを置かせてもらったり。チラシは、デザイナーの友達が作ってくれました。

兄がグラフィックデザイナーなので兄に名刺を作ってもらって、印刷は知り合いの活版印刷所に……みんな知り合いや友人ばかりですね(笑)。

人形町キッチン 名刺

やわらかく、どこかノスタルジックなフォントとロゴが印象的。活版の質感も、独特の温かみを醸し出しています。アットホームな「人形町キッチン」にぴったりな名刺。

―お話をうかがっていると、人との繋がりが風間さんのキャリアを作っていったような気がします。

風間:
そうですね。本当に、人には恵まれてきた人生だと思う。
人って、一人の力だけじゃ生きていけないじゃないですか。だからこそ自分も人に優しくありたい。

人との繋がりには、本当に感謝してます。みんな力を貸してくれて、ありがたい限りです。

風間流・仕事の美学は、「伝える力」

お料理教室での仕事、メディアの仕事と、それぞれの現場で心がけていることは?

風間:
「伝える力」は常に意識してます。
例えば雑誌だと文字数制限があります。その制限の中で、どうレシピを伝えるか?毎回、悩むところですね。

教室だとリアルな場なので言葉は尽くせますが、「伝える」ことは常に考えてます。
それはどんな現場でも変わらないです。

―「伝える力」を考える原点は、25歳のときに働いていたお料理教室でぶつかった壁にありそうですね。

風間:
そうかもしれないです。人に料理を教えるってことは、料理を伝えることでもあるので。

あとは、楽しむこと!
これも、どのお仕事や現場でも変わらないスタンスです。
いい空気が、いい仕事を生むと思ってます。

「料理家」として仕事をしてきた中で、印象深かったことは?

風間:
私ね、人に「美味しい」って言ってもらうことが一番嬉しいんですよ。

ケータリングの仕事をやってたころ、こんなことがありました。
あるビジネスセミナーのケータリングに呼ばれて行って、休憩時間に料理を出したんですが、ビジネスセミナーなので雰囲気が緊張してるんですよ。
私の前で、男性二人がセミナーの難しい話をしてたんですね。
で、何気なく私が作った料理を食べた瞬間、二人が「うまい!」って言ったの。

すごく感動しましたね。「あ、私が作ったものって美味しいんだ」って。

美味しいと言ってもらえること

―誰かに「美味しい」と言われることの喜びはいつ感じたんですか?

風間:
小学校高学年のときに兄に褒められたことが原体験かも。

私の兄は、めったに私のことを褒めないんですよ。
そんな兄に、ある日インスタントラーメンにツナの卵とじを乗せて出したら、「美味しい」って一言、褒めてくれたの。

たいした料理じゃなかったんだけど、普段褒められない人に褒められたから、すっごく嬉しかった。

人から褒められたことって、ずっと覚えてるじゃないですか。
褒められたことがきっかけで、それを好きになることもあるし……。

だから、兄のその言葉は今でも強烈に覚えてますね。
「美味しい」の一言が聞きたくて料理を作ってるところは、昔から変わってないです。

自分自身に「こうしなくちゃいけない」というルールを課さない

風間さんのように「好きなことを仕事にする」って難しいですよね……。

風間:
好きなことに対する好奇心を持ち続けることが大事なんじゃないかな。

私は、自分自身に「こうしなくちゃいけない」っていうルールを課してなくて。
自分の好きなことに関することで、「面白そう!やってみたい!」って思ったら飛びつきます。

あと、周囲の人にも「私これやりたいんだよね」って言ってると、仕事に繋がる話を教えてくれることもあるので、口に出して言う力も大きいと思います。

―好奇心を継続して、周りの人にも言い続けることが、自己実現に近づく道かもしれませんね。

最後に、風間さんにとって「料理家」とは?

風間:
ちゃんと料理を美味しく作る人のこと!!

風間さん特製「絶品ペペロンチーノ」に編集部員も舌鼓を打つ!

最後に、編集部のために風間さんがペペロンチーノを作ってくれました。

特製ペペロンチーノ

さすがの包丁さばきです。ガーリックの香りが食欲をそそります。

ペペロンチーノ

ルッコラ、トマト、バジル……具だくさんのペペロンチーノが完成です!

お味は、まさに絶品。
茹でたての麺に、オリーブオイルと鷹の爪の風味がギュッと凝縮されていました。
ルッコラとバジルの上品な香りが、嗅覚を優しく撫でます。
「美味しい!」の言葉が止まらない編集部員に、風間さんは嬉しそうににっこり。

人との繋がりに感謝し、周囲に助けてもらいつつ、「お料理の先生になりたい」という夢を叶えた風間さん。
フレンドリーで飾らない、フリーダムなお人柄あってのことでしょう。

好きなことを仕事にするには、周囲の人を大切にしながら、自分の好きなものに対する継続力を持つこと。
アンテナを張り続けること。
そして、愛情を持ち続けることが不可欠かもしれない。

そんな学びを得つつ、「美味しい」料理を食べる幸せで、お腹いっぱいになった取材でした。

「料理家」と近しい職業として、「料理研究家」の仕事を紹介した記事はこちらです。「料理研究家」にも興味があるかたは、こちらもあわせてご覧ください。

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2018.04.13
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